姉さん女房の地域分布は全国平準化の傾向
最後に、こうした姉さん女房の地域差は、広がっているのか、縮まっているのかを確認しておこう。
図表5は、姉さん女房比率の1995年から2015年にかけての20年間の変化を見るため、X軸に当初1995年の比率、Y軸に1995~2015年の比率の上昇幅をとって描いた散布図である。Y軸方向は、すべての都道府県でプラスであり、全国的に姉さん女房は増えていることが確認できる。
そして、散布図のパターンとしては、X軸の小さい県ほど上昇幅が大きく、X軸の大きい県ほど上昇幅が小さい右下がりの傾向が認められる。
もともと姉さん女房比率の低かった滋賀では8%ポイント以上の比率の上昇を見ている一方で、もともと姉さん女房比率の高かった岩手では比率の上昇は4.4%ポイントにとどまっている。すなわち、姉さん女房比率の地域分布には、全国平準化の傾向が認められるのである。
また、東京と大阪の位置を探すと全国平均の位置とあまり離れていないことが分かる。このことからも姉さん女房の動きは流行の先進地から発したものではないことが確認されるのである。
冒頭で、姉さん女房をもらうスポーツ選手の多さについて触れた。10歳年上の女性と結婚したあるプロ野球選手は、あるテレビのドキュメンタリー番組内で、自分にとって妻は「お母さん」のような存在でもあると語った。一方の妻は、夫がまだ2軍選手だったにもかかわらず「この子ならやれると思った」と述べている(その後、1軍で長年活躍した)。妻を「お母さん」のように慕い、夫を「子供」のようにかわいがって、一流選手に育てる。
すべての姉さん女房婚の夫婦がこういう関係ではないだろう。しかし、年上妻率が日本一高い九州地方を筆頭に、全国的に「妻=お母さん」に甘えたい男性が増えているということなのかもしれない。