最後の「プロセス」は、イノベーションを起こす企業には、社員の創造性を刺激する仕組みがあるということだ。イノベーティブな企業では、事業開発や人材交流など、さまざまなところでイノベーションを意識したプロセスが構築されている。

このような3Pをしっかりカバーできているからこそ、持続的にイノベーションを生む企業であり続けているのである。どれか一つの要素だけで、それがうまくいくわけではない。

ダイキンをはじめとして、DXの推進により業績を高めている企業を見ると、どの企業も共通していることがある。

どんな未来が来るのか、自社はどこに向かいたいのかという「ビジョンと哲学」に真剣に向き合い、人材戦略やプロセスについても、その「ビジョンと哲学」に基づいたアプローチを行っている。

「戦略が二流でも、実践が一流であればいい」

日本の企業が、今後もGAFAに圧倒され続ける存在であることは決してない。

ダイキンの例を見れば分かるように、日本企業には大きなポテンシャルが秘められており、DXを実現することができれば、そのポテンシャルが開花し、GAFAに対抗しうるようになる。

福原正大『日本企業のポテンシャルを解き放つ DX×3P経営』(英治出版)
福原正大『日本企業のポテンシャルを解き放つ DX×3P経営』(英治出版)

それが伝統的な日本企業であっても、人材の潜在能力は欧米トップ企業と比べても遜色ないし、ビジネスモデルも遅れをとってはいない。

GAFAのようなメガIT企業であっても、リアルのモノ・サービスづくりに強い企業に対しては大きな危機感を抱いている。

なぜなら、リアルのビジネスに強い企業こそ、DXを実現すれば競合になりうると考えているからだ。

だから私は、経営トップが新しい時代に沿ったビジョンを社内で示し、真剣に人と組織の変革に取り組んでDXを推進していけば、その大きなポテンシャルを開放できるはずだ、と確信している。

ダイキンの井上会長がよく発言している「戦略が二流でも、実践が一流であればいい」という言葉は、DXを推進するうえでも示唆にあふれている。

きれいな事業戦略を描ききれなくても、それを実行する人と組織が強ければ、必ず成功に向かって進んでいくことができるだろう。

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