「『ぼくたちは世界最高のライブバンドだった』とおっしゃっていましたが、それはローリングストーンズよりも、という意味ですか?」と訊ねたら「イエス」。また、出てきた緑茶に茶柱が立ったので、それを言葉で説明した。しかし、彼は私が茶柱を指さしただけでそれが幸運を示すものとすぐにわかった。
「頭がいい」とは別物の才能があった
彼のような人は相手が考えていることを瞬時に理解してしまう。それは頭がいい、知識が豊富という意味ではない。高倉健さんもそうだったけれど、スター、有名政治家のような想像もできないくらい大勢の人に会って、相手を理解しようと思う人のなかには相手の全体を瞬時につかみ取ってしまう人がいる。
わたしは英語に自信がなく、ぽつりぽつりとメモを見ながら話をしたのだけれど、彼は一言一言、完全にわかっていた。インタビューをしていて、これほど気持ちよく理解してもらったことは快かった。
私が最後に言った「ありがとう」は、伝えたことを100パーセント、理解してもらってありがとう、だったのである。
それと、あの時、ポール・マッカートニー卿はサントリーが日本のウィスキーメーカーとは知らなかっただろうが、今ではわかっているし、飲んだこともあるのではないか。別に、サントリーのことをほめたくて言うわけじゃないけれど。