米軍は尖閣を守るどころか、中国が軍事行動に出れば一目散に逃げていくだろう。イラクでもアフガニスタンでも中途半端で軍事行動を終わっている。

いまの米国に、他国を守る余裕はないのだ。「トランプ後遺症」で国内が混乱し、自分の袴を踏んでひっくり返っている状況だ。

日本にとって最善のポジションは、中国には弱腰外交を徹底し、米国には是々非々で協力することだ。そして、最重要パートナーはロシアだと私は考えている。いま日本が手を組んで最もメリットがあるのはロシアだ。私の構想を説明しよう。

ロシア嫌いをつくる洗脳から目を覚ませ

ロシアとの関係強化で、最大のメリットが望めるのは国防分野だ。例えば自衛隊の兵器をロシアから買うことを考えたらどうか。ミサイルなら、いまはロシア製が最も安くて性能がいい。何しろカスピ海からでもシリアを狙ってターゲットに命中できる、と実戦で証明済みだ。

自衛隊員も、将校以外はロシアの兵隊に入れ替えてはどうか。つまり、傭兵の外人部隊だ。現在、自衛官採用は少子化で計画通りに進んでおらず人手不足だ。しかも、ロシアの兵卒は月給が5万円ほど。武器と兵士をロシアに頼れば、国防費はかなり節約できる。

自衛隊員がロシア人、兵器もロシア製となれば、日本とロシアは戦争にならない。しかも北朝鮮と中国は、ロシアを敵にまわしたくないから日本に攻めてこない。両国はロシアと親密な日本をコケにできないし、むしろ尊敬するかもしれない。

ロシアから兵器を買えば、「米国が黙っていない」と心配する人もいるだろう。しかしトルコは、NATO加盟国にもかかわらず、ロシアから超長距離地対空ミサイル「S-400」などの兵器を買っている。クアッド(日米豪印戦略対話)の一員であるインドも、ロシア製の兵器を持っている。日本もトルコとインドを見習ってうまく立ちまわればいい。せめて「頭の体操」として、そういうシナリオを考えるくらいの柔軟性が日本には求められる。

ロシアと関係を深めれば、エネルギーの安定供給も期待できる。ロシアは北極圏LNG(液化天然ガス)の生産拡大を進めている。日本はLNGを輸入するより、ロシアで発電した電気を輸入したほうがいい。長距離高圧直流送電の技術は、ABBの当該部門を買収した日立が持っている。大量の電気を輸入すれば、カーボンニュートラルの国際的な取り組みも、ロシアが負担してくれるかたちにできる。日本国内の原発から出る核廃棄物を、ツンドラ地帯に埋めさせてもらうことも考えられる。