なぜカタカナ外国語を多用するのか

【塚谷】でも日本人から見て、日本語が英語になっているのも多少はありますよね。たとえば「テリヤキ」とか「サケ」とか「スモウ」とか。相撲は「スモー」(「ス」にアクセント)って言われるし、「サケ」は「サキ」と発音される。

【バラカン】カラオケ(karaoke)は「キャリオウキ」になるし。

カラオケ
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【塚谷】そうそう、日本とは発音が全然違うじゃないですか。ぼくはそれを聞くと「えっ!」って思うけど、「ああそういうものなんだな」と思いますね。それはしょうがないんだなと。日本語が英語になっているのはそんなに多くないけど、その逆はたくさんありますよね。

【バラカン】ありすぎです。そこまで外来語を使わなくてもいいですよ。日本語の言葉があるのに、なぜそれを使わないでわざわざカタカナ外国語を使うのかなと思うことが多いです。

【塚谷】漢字・漢語がもともと中国から来てるから、日本語英語もあまり気にならないのかもしれないけど。

【バラカン】いや、でも大和言葉はたくさんあるじゃないですか。使おうと思えばいくらでもある。

【塚谷】そうなんですよ。ヨーロッパの人たちは本当に自分たちの文化を守ろうという意思が強いけど、日本はそれほどではない。たとえばオランダ国立オペラの団員にしても国家公務員だから、国から給料をもらっています。民間に任せると、経営が成り立たなくなってつぶれちゃいますから。

文化に対してはケチな日本の政府

教会もそうですね。たとえばドイツ人は教会税というのを払っていて、教会を維持しようとしている。パイプオルガンなどの維持やメンテナンスも、すべて税金でまかなっています。だから文化を守ろうという意識がすごく強いんだけど、日本はあまりそういうのがない。なくなったらなくなったで終わり、みたいに感じますよね。

【バラカン】うーん、少なくとも政府は文化に対してケチですね。

【塚谷】文化には厳しいですよね。ヨーロッパの人たちは自分たちの文化に誇り、プライドがあるというか。

【バラカン】日本もプライドはあると思うけどね。

【塚谷】日本は国内市場が中途半端に大きいので、補助金を付けて文化を守ろうとしなくても、楽団員などは何とか食べていけてしまうところがあるんでしょうね。オランダの人口は東京と千葉の人口を合わせたぐらいで1800万人ぐらいですね。ですから、たとえば楽団員や役者を養うためには税金を使うしかない。