カラフルな食品が不健康なイメージと結びつく理由
今日当たり前のように使用されている食品着色料は、食品の色を簡単かつ安価に操作できるものとして、色の商品化を促進させてきた。政府が食品規制法によって着色料使用を規制すると同時に、一部の着色料の使用を認可したという事実は、着色が食品生産過程の一部として認められたということを意味しており、これによって、食品着色は一つの産業として確立されていったのである。
また、食品着色の産業化と色の商品化は、食品の大量生産が進む中で色の画一化をより一層促すものともなった。黄色いマーガリンや赤いケチャップ、緑色のグリーンピースの缶詰など、多くの人が「当たり前」だと思うような色を大量かつ安価に再現する手段となったのだ。そしてそれは、私たちの視覚環境、そして味覚と結びつけられた視覚(色)が次第に標準化されてきた過程でもあった。
同時に、有害な着色料や化学物質による健康被害が拡大したことで、食べ物の色は、新鮮さや味、食べ頃を示すだけでなく、安全性の基準を示すようにもなったのである。そして、派手に着色された菓子や鮮やかで均一な色をした加工食品などが、一般的に不健康なイメージと結びつく要因の一つとなったともいえるだろう。これは、食品産業と化学産業との強固な結びつきによって、何を「食べ物」と考えるかが大きく変化し、人と食べ物、さらには自然との関係の大きな転換を意味してもいた。