デジタル庁の「初仕事」といえるサービス
「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」の運用が12月20日から始まった。10月に新設されたデジタル庁の「初仕事」といえるサービスだが、さっそく問題点が浮上している。
アプリはスマホに無料でダウンロードするもので、マイナンバーカードを読み込むと、ワクチンを打った日などの接種記録がスマホ上に表示される仕組み。接種証明書には国内用と海外用の2種類あり、国内向けは飲食店やイベントで接種を確認する際などに使うことを想定している。一方の海外向けは渡航する際の手続きで利用でき、パスポートの読み取りも必要になる。
操作は「簡単」という触れ込みだ。ダウンロードしたアプリを起動し、マイナンバーカードの情報を読み取ってカード取得時に設定した4桁の暗証番号を入力。その上で、ワクチン接種をした自治体を選ぶ。職場接種をした人は接種券を発行した自治体を選択する。するとアプリ上にQRコード付きの「接種証明書」が発行され、それを読み取ると、氏名や生年月日、ワクチンの種類やロット番号、接種日などが表示される。海外用の場合、加えて国籍や旅券番号も表示される。
問題の根源は「ワクチン接種記録システム」への入力
当初、アクセスが集中したためか、ダウンロードがうまくできないといったトラブルもあったが、それはまだいい。問題は表示されるデータにかなりの誤りがあるということだ。2回目の接種日が1回目より前になっていたり、ワクチンのロット番号が違っているケースが多いという。
発足から3カ月もたたないうちにデジタル庁が作ったのだから、たいしたものだと思うかもしれないが、実はそうではない。政府が2021年1月になって、それまで厚労省が開発していた「ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)」では、接種記録の把握に時間がかかり証明書の発行に数カ月かかってしまうと大騒ぎになり、ワクチン担当相になった河野太郎氏の下で、急遽、「ワクチン接種記録システム(VRS)」の構築が決まった。
それから2カ月あまりでシステムを作り上げたのはお手柄なのだが、接種時に接種記録を新システムに入力することを自治体に求めたことが、今回の「誤データ」の原因になった。河野チームは自治体にタブレットを配布、そのカメラでコードを読み込むことにしたが、カメラの性能が悪く、読み取れずに手入力するケースが多発。最低でも10万件以上の誤りが入力されているとみられる。