長期熟成したシングルモルトのようなMC
僕は思うんですよ、タモリさんやたけしさんは“熟成したウイスキー”のようになっているって。
海沿いなどに並ぶ巨大な倉庫を思い浮かべてください。
倉庫って二つの役目があると思うんです。
一つは、鮮度の高い魚などを一時保管しておく役目。
あくまで需要と供給のバランスを保つために商品の一時お預かりをしているだけ。供給されずにいつまでも倉庫に入ったままだと鮮度が失われ、商品価値が落ちてしまいます。
年代物のマグロの刺身なんて食べたくないでしょ。だから倉庫の中身は、常に循環している。
もう一つの役目は、逆に留めおくことで熟成させ、価値を高める役目。
タモリさんがいるのは完全にこっち。ウイスキーの樽熟庫。
タモリさん自身は、50年もののシングルモルトのようなもの。だからちょっと飲むだけでいい。
たまに「メルカリ」とか「美味しいねえ」と言うだけで見ている側は満足する。
テレビという目まぐるしく移ろいゆく世界、典型的な諸行無常の世界では、なにか心の拠り所が欲しくなるものなんですよ。ご本尊化したタモリさんは、まさにその役割を担っているんです。