[寿司]いずみ

――店主が自分の足で全国の生産地を回り食材を集める

●店主の佐藤衛司さんは、5年前に病気で左半身に麻痺が残り、今は握っていない。だが「生きている魚ほど、シャリに合わない」という信念は健在で、仕込みに仕込んだ寿司を食べさせてくれる。
●東京都目黒区下目黒6-6-9 TEL.03-3793-9150 営業時間/18:30~24:00頃 月休不定休あり カウンター12席 要予約 禁煙 料理はおまかせで1万5000円程度

1. コハダの赤酢〆。にぎりは1貫ずつ手渡しし、すぐに食べてもらう。温かいシャリに、冷たいネタをのせると1~2秒で味が変わってしまうからだ。それと、手渡しすることで、全国から選りすぐった素材の生産者の想いを、少しでもお客に伝えたいからだという。2は撮影のために特別に葉ランの上に置いてもらった。右からハマグリの炒り煮、キンメのヅケ、松茸と炙りマグロの重ね。左端は、江戸時代の製法を再現したガリだ。
 3. ゲンゲンボウのみぞれ揚げ出し。ゲンゲンボウとは、能登・若狭で獲れる「水魚」。コラーゲンたっぷりだが、淡泊な味なので、クリームチーズを挟んで、アーモンドを衣にして揚げてある。だし汁と交互に食すると、味わいが深まる。
 4. マーガンのなり味噌焼き。マーガンは、モクズ蟹のことで、上海蟹の仲間。産卵のために山から下りてくる冬場が食べ頃だ。ほぐした身に、奄美大島産のそてつを入れ込んだなり味噌を塗って焼く。さらにバルサミコをかけるので、濃厚な香りも楽しめる。

[寿司処]梁川

――築地仲卸のオーナーだから実現した、激安の絶品鉄火丼!

●店には、オーナーの奥さんで、フィリピン人の名物ママがいる。来日して30年、フィリピン親善大使やモデルを務めながら様々なボランティア活動にも参加している。「やたらと明るく、元気な人」と池田先生。

●東京都新宿区西早稲田1-22-2 TEL.03-3208-8754 営業時間/11:30~14:00、17:00~22:30 水休 カウンター6席、テーブル12席、小上がり12席 禁煙

1. ランチの鉄火丼。1000円で、このボリューム。店の一番人気だ。ボリュームだけでなく、2種類のマグロを使い、特に真ん中の花びらのように立てられた赤身は絶品。オーナーが、築地市場で三河屋というマグロの仲卸を営んでいるからこそ、実現できるメニュー。
 2. これもランチの海鮮丼、1000円。日によってネタが少し替わるものの、いずれも新鮮さが売りもの。ランチメニューは、平日のみ。
 3. キンキの煮付け。隠れた人気商品。長年足し増しを続けて、熟成させたタレは、甘辛さがほどよく調和し、深いコクを醸し出している。オーナーの奥さんが以前マネジャーを務めていたという、格闘家のボブ・サップも大の好物にしているが、骨が苦手で「取って」と頼むそうだ。キンキの大きさで値段は多少変わるが、2600円程度。年間を通して食べられるのも嬉しい。
 4. にぎりは、池田先生いわく「安くて旨い」。一人前で1155円から。これなら、学生を連れてくることもできる。写真は右から、アジ、コハダ、赤貝。

(構成・文/樺島弘文 撮影/kuma* 地図作成/ライヴ・アート)