女性だけで開発したプログラム

【白河】女性人材の獲得にもつながったわけですね。現在は社員の約7割が女性だそうですが、その女性たちはどんな事業を担当されているのでしょうか。

NOKIOO 小川健三社長
NOKIOO 小川健三社長(写真提供=NOKIOO)

【小川】web受託開発などのクライアントワーク事業では、女性社員もエンジニアやデザイナーとして活躍しています。もうひとつの柱である人材事業では、育休スクラをはじめとする女性活躍支援事業を行っており、ここでも多くの女性社員が事業企画や運営、営業などを担当しています。

特に育休スクラは、すべて女性のチームで開発しました。こちらは当初は個人を対象にしていましたが、かなり好評をいただいていることから、現在は企業向けのセールスにも力を入れています。育休中の社員に対して、会社が育休スクラを活用した「自宅での学び」を提供するという形を目指しています。

【白河】学びの場としては社会人向けビジネススクールなどもありますが、育休中の女性にとっては通学、費用の面でもハードルが高いですよね。プログラムもかなり密で、子育てとの両立は難しそうです。育休スクラはどんな形で学べるのでしょうか。

【小川】グロービス経営大学院などのビジネススクールよりもう少しハードルの低い、学びのコミュニティーのような形で運営しています。育休中という環境に対応できるよう授業はすべてオンラインで、週1回2時間のペースで6カ月間継続して受講する形ですね。会社組織の外で多様な人材と交流できる「越境学習」をコンセプトとし、1クラスは20〜30人程度で、ディスカッションや対話の時間を多くとるスタイルを取り入れながら進めています。

「上位の仕事に就く関心が増した」人は83.4%

【白河】同じ育休中の方々と一緒に学べると、刺激になりますし安心感も大きいですね。学習内容としてはどんなカリキュラムがありますか?

【小川】キャリアを描くための基礎力、組織・チームで成果を上げるために必要なスキル、より上位の役割にステップアップしていくうえで必要になるマネジメントスキルの育成など、実践的な内容を充実させています。ビジネススキルを磨く場としてはもちろん、ロールモデルや新しい価値観との出会いの場、育休によるキャリアの変化や自分のモヤモヤ感に向き合う場としても役立ててほしいと思っています。

【白河】実際に受講した方々にはどんな変化が表れていますか?

【小川】育休スクラでは、受講前と受講後とを比較する本人評価を行っています。それによると、受講生のうち「仕事への意欲や愛着が増した」「チームでの目標達成の力がついた」はいずれも100%、「上位の仕事に就く関心が増した」は83.4%と、高い成果が表れています。