「低賃金で結婚できない男」が急増中の韓国で起きていること

かつて欧州に吹き荒れたユダヤ人排斥や、現在のアジア系移民への差別などにも通じるが、人間というのは、自分たちが恵まれない境遇に陥った時、社会の中で存在感を増してきた「新参者」に対して、「お前らがやってきたせいで悪いことが起きた」とスケープゴートにすることがわかっているからだ。

低賃金で結婚できない若い男たちが、「どうしてこんな世の中になってしまったんだ?」と社会を見渡した時、「男女平等」や「女性の人権」をうたうフェミニストが視界に入ったらどんな感情がわき上がるだろうか。「ああゆう連中が増えせいで、男ばかりが損をしている」などと一方的な憎しみを抱く者もいるのではないか。

その典型が、実はお隣、韓国の若い男たちだ。

先ほど日本の平均賃金は韓国にまで抜かれてしまった、と述べたが裏を返せば、ちょっと前まで韓国は日本よりも低賃金だった。しかも、日本以上の学歴・格差社会なので、少しでもレールを外れて大企業に入れなかった若い男性は、日本以上の過酷な低賃金労働に従事するしかない。当然、日本以上に「結婚できない若い男」が溢れかえる。

韓国保健社会研究院の日韓比較研究の報告書によれば、1995年時点では、韓国の30代前半男性の未婚率約19%で、日本の同世代男性よりも低かった。しかし、2015年になるとこれが約56%に跳ね上がり、日本を追い抜かしてしまう。これは所得が低いなど経済的理由から交際相手がいない若者が増えていることが影響しているという。

では、このように「低賃金で結婚できない若い男が溢れかえる」という問題が日本以上に深刻化している韓国で今、何が起きているのか。

「フェミニストが嫌い」を上回る憎悪

それは、日本以上に深刻な「フェミニスト憎悪」である。

20代男性のなんと半数が、反フェミニズム意識を持っている、という驚きの調査もあり、「フェミサイド」(女性憎悪に基づく男性による女性の殺人)も続発しているのだ(20代男性の6割が「女性が憎い」と答える韓国で起きたフェミサイド)。

日本の若者たちはまだ「フェミニストが嫌い」くらいだが、韓国の若者の憎悪はさらに凄まじいことになっている。それを象徴するのが、東京2020の女子アーチェリーで韓国代表のアン・サン選手へ向けられたバッシングだ。彼女が3つの金メダルを獲得した際、韓国のサイトにはこんな投稿が相次いだ、とBBCNEWS(2021年8月12日)が紹介している。

アン選手が金メダルを取ったのは良いけれど、短い髪を見るとフェミニストのように見える。もしそうなら応援しない。フェミニストは全員死ねばいい