不登校の子供が年々増えている。『不登校新聞』編集長の石井志昂さんは「不登校は、いじめや学校内での競争、勉強のストレス、友人関係などが重なり合って起きている。人気者や勉強ができる子でも不登校になることがある」という――。(前編/全2回)

※本稿は、石井志昂『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

子供たちを学校から家に連れて帰る父親
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誰でも「不登校」になり得る

最初に、どんな子でも不登校になる可能性があるということを知っておいてほしいと思います。

私は長年不登校の子どもたちと接していますが、クラスの人気者も、勉強ができる子も、運動ができる子も、コミュニケーションスキルが高い子も、子どもの中で何かしらの不具合が重なっていくと不登校につながります。

心療内科医の明橋大二先生は、不登校は「心がオーバーヒートした状態」だと表現しています。モーターのスイッチが切れるように体が動かなくなる、つまり安全装置が作動している状態なのです。

「不登校」でも、週2、3日学校へ行っている

不登校というとずっと家にいるイメージがあるかと思いますが、実際は週に2、3日は学校へ行っている人もたくさんいます。

というのも、年間30日以上学校を休むと不登校の定義に当てはまるからです。月に換算すると3、4日休むと該当します。

それを踏まえたうえで、文科省の調査を見てみますと、小・中における不登校児童生徒数は年々増加を続け、2020年度は19万6127人で3年連続で過去最多を更新しています。

内訳としては、小学校が6万3350人、中学校が13万2777人でした。

2020年度は、コロナ禍の影響もあり、学校に行きづらい子どもが増えていると分析されています。