無理に理由を聞こうとしない

子どもが学校に行きたがらないとき、その理由をなかなか言いません。言葉にならない理由が複数あり、複雑に絡み合っているからです。

たとえば、スマホやゲームがしたいから学校に行かない、と言った場合、それは親を心配させたくないからかもしれません。深刻ないじめがあったと言えば、お母さんお父さんを悲しませるかもしれないし、情けないという気持ちにもなってしまいます。

また、つらい経験を話すと、そのときのことがまざまざと思い出されて、フラッシュバックが起こることがあります。子どもは忘れたいと思っているのに、聞かれて話すことで、忘れられなくなってしまうのです。

理由を聞いても、子どもが言いづらそうにしている。「学校でどんなことがあったのか話せる?」と聞いても、何も答えない。そういうときは、言いづらいんだなと考え、無理に聞こうとしないでほしいと思います。

「なんで学校に行けないの?」はNGワード

「なんで学校に行けないの?」は代表的なNGワードで、子どもを追い詰める言葉です。

石井志昂『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ新書)
石井志昂『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ新書)

子どもとしては、説明がしにくかったり、まわりにわかってもらえないかもしれないと思ったりして、言葉に詰まることがあります。そこを問い詰められると、非常に苦しいのです。

そんなに苦しい状況にあるなら、ちゃんと話さないとダメだよと言う人もいるでしょう。

「なぜ苦しんでいるのか。それを自分の言葉として説明できるようにしないといけないよ」、私も実際にそう言われたことがありました。

なぜつらかったのかは後でたくさん口にするので、今は子どもの語りにまかせ、問い詰めるようなことはしないでほしいと思います。(後編に続く)

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