唾液が減り、歯周病が悪化すると悪臭を放つ

口臭の原因の85%が口の問題で、高齢になると唾液が減って口臭を引き起こします。肌がカサカサと乾燥するように、口の中もカサカサしてくるのです。

唾液は消化を助けるだけではなく、口の中の汚れを流してくれます。乾燥してしまって唾液が少なくなれば、口の中の汚れが流れなくなります。汚れがたまってしまい、ニオイが発生するのです。

また、舌に舌苔ぜつたいというものがあります。ベロをベーっと出すと表面が白く(もしくは黄色く)なっている所が舌苔です。定期的にきれいになっていくものなのですが、唾液が少なくなると舌苔も汚れてしまい、ニオイを発生させます。口の中の汚れが落ちなければ歯周病菌・虫歯菌も抑えることができず、さらにニオイが強くなります。

特に問題になるのは歯周病です。歯周病は40歳を超えると8割の人がかかっています。

軽いうちは歯茎が軽く炎症を起こす程度なので、あまり症状がありません。しかし進行すると、歯磨きをして歯茎から血が出ます。さらには、口の中がかゆくなってきます。高齢になると唾液が少なくなり、汚れも落とせず歯周病菌も落とせず、歯周病が悪化するのです。

では、歯周病によってどのようにしてニオイが発生するのでしょうか。歯周病菌は、口の中にある食べカスを溶かしてガスを発生させます。硫化ガスといって、温泉と同じガスです。よく「卵の腐ったニオイ」と例えられる悪臭が発生するのです。さらに歯周病が悪化すると、歯を支えている骨まで溶かしてしまいます。

歯ブラシで磨いているだけでは100点ではない

解決策として、歯磨きが大切です。ただ、歯を磨く時は多くの方が歯ブラシだけ使っていると思います。歯ブラシだけではなく、デンタルフロスといって糸のようなもので歯の間に詰まったものを取ることも大切です。偉そうに言っていますが、私もあまりデンタルフロスは使っていませんでした。歯ブラシで歯を磨く。それだけでいいと思っていたのです。でも、歯医者の友人などがこまめにデンタルフロスを使っているので、反省して使うようになったのです。

アジアの高齢の女性
写真=iStock.com/Toa55
※写真はイメージです

フロスは慣れるまでは面倒なのですが、慣れてくると歯の間の汚れがきれいに取れて気持ちよくなります。今では旅行先などでデンタルフロスを忘れると、何だかすっきりしないなと思うほどになりました。まだ使われていない方は、デンタルフロスをぜひお試しください。

歯と歯の間や、歯と歯茎の間に詰まったカスを残しておくとガスを出してニオイが出てしまうので、臭くなる前からきれいにしましょう。

また、細かく刻まれた料理は口の中にとどまりやすいです。高齢になると喉に詰まらないように細かく刻みますが、こういったものを食べた後こそ、歯磨きやうがいを徹底しましょう。こまめに水分を摂るというのも、後ほど詳しく触れますがガムを噛んだり、よく噛んで食べたりするのと同じように有効な方法です。