マネーのデータに注目する必要がある

これからのビッグデータとして注目すべきは、マネーのデータだ。マネーのデータは、扱いやすいし正確なので、ビッグデータとして、最も大きなポテンシャルを持つと考えられる。これをビッグデータとして用いることは、日本にとって大きな可能性を開くだろう。オープンバンキング、あるいはBaaSと呼ばれる仕組みによって、預金の出し入れなど、銀行が持っている顧客データを外部の企業が利用して、新しいサービスを提供することができるだろう。

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写真=iStock.com/west
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マネーデータの利用方法としては、まず信用スコアリングが考えられる。中国の電子マネーAlipayは、新しい時代の金融ビジネスのモデルを開発した。これによって、Alipayを運用するAntグループは、驚異的な成長を遂げた。

今後、信用スコアリング以外に、様々なサービスの登場が期待される。とくに企業に対して経営コンサルティング的なサービスを行なうことが期待される。銀行APIの活用により、企業の現状がどうなっているかを、リアルタイムに、正確に把握することができる。どこでどの程度の需要があるか、将来はどうなるか、などの予測ができる。

データの活用が中小企業の経営効率化に寄与する

これまでのビッグデータ利用は、対個人が中心だった。マネーのデータは、事業活動について多くの情報をもたらすだろう。それだけでなく、金融機関がこれまでに蓄積した知見と合わせて、経営コンサルティングを行なうことが、十分可能だろう。

こうしたサービスに対しては、需要も高い。2018年度に金融庁が地域銀行をメインバンクとする企業を対象に実施したアンケート調査によると、22%の企業が過去1年間に取引金融機関からの融資を必要としなかったと答える一方で、そうした企業のうち72%が取引金融機関から提案を受けたいサービスがあると回答した。提案を受けたいサービスのトップは取引先・販売先の紹介だ。銀行の顧客間ネットワークを利用すれば、容易に対応できると考えられる。

このようなマネーのデータ活用は、単に銀行に新しい収益源を与えるだけではない。それによって企業の生産性を引き上げることができるだろう。とりわけ、中小企業の経営効率化に与える影響は大きいだろう。これを適切に活用できるか否かが、日本の将来を決めるだろう。

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