それはつくり手が心底「おもしろいと思えるかどうか」だと元木昌彦氏は断言する。「かつてバカ売れした号がありました。宮沢りえと貴乃花が婚約破棄を発表したときのものです。事前に2人がホテルニューオータニで話し合ったという情報を得て、『2人が語った一部始終』というタイトルで出したんです。これは飛ぶように売れましたね。でも代わりにクレームも激しかった。『読んでも何にも書いてねえ!』と(笑)。当たり前です。取材しても何にも出てこなかったんだから。
でも私は知りたいと思った。話し合いの内容がわかれば絶対おもしろいはず。だから事前にタイトルを決めたんです。担当者はさすがに絶句していましたね。『これ、どうやって取材すれば……』って。でも『それを考えるのはおまえだ』と」
ニヤリと笑う元木氏だが、これはかなりの強硬手段。応用するには難易度も高い。氏自身、すべてがこんな調子では雑誌は売れないと認めている。
ならばどこまでなら消費者を「騙す」ことが許されるのだろう。同氏の基準では、「1カ月に1回くらいなら許してくれるはずだ」そうだ。「男女関係と同じで、読者もあまり愚弄しすぎると離れていくからね……」。その見極めが難しいのだが。