植木氏からは、「≪嘘≫を≪夢≫に置き換えられる範囲まで」という助言が出た。「たとえば『タウリン1000ミリグラム配合』と謳われた商品がどこまで正確か、ということにそれほど人は執着しませんよね。商品の対価には、『夢を見せる』部分も含まれているからです」
さらに植木氏は、週刊誌には「売れる」ヒントがたくさん隠されているという。「一番は、あのセンセーショナルなタイトルです。たとえば『役人が50億円着服した』というタイトルよりは、『ノーパンしゃぶしゃぶで豪遊』のほうが読者の目は引きつけられます。これは活字による見事なビジュアライズ化で、『50億円』は想像しにくくても、『ノーパンしゃぶしゃぶ』なら一挙に思い浮かべられる(笑)。多くの人が知りたいのは客観的な数字ではなくその人の内面です。『あいつそんなことやってるのか!』という映像は、周囲とも盛り上がれること確実ですから」
だが、ここで元木氏の「たかが週刊誌、されど週刊誌」という声が聞こえてくる。「大切なのは≪本音≫と≪建前≫ですよ。商品を売るためにはまずはお客さんに来てもらわなくてはならない。そのための≪建前≫がヘアヌードなわけです。でもその裏には、きっちり取材をした本格的なルポがあり事件取材記事がある。それが我々週刊誌の≪本音≫なんです」
※すべて雑誌掲載当時
(渡邊清一=撮影)