10月30、31日にローマで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の首脳宣言では「今世紀半ばごろまでに排出量のネットゼロまたはカーボンニュートラルを達成することの重要性を認識する」という書きぶりにとどまった。2030年までに温室効果ガス排出量をピークアウトさせ、60年までに「カーボンニュートラル」を目指すという中国に配慮したかたちだ。
環球時報は、中国は9月に海外で新たな石炭火力発電プロジェクトを建設しないと発表しており、風力や太陽エネルギーの生産量は世界最大だと指摘した上で、こう反論する。
「ジョー・バイデン米大統領や欧米の世論は自分たちの責任逃れのため、中露が十分な努力をしていないと非難する。COP26についても欧米の多くのメディアが、中国がより野心的な削減目標を採用しないことを非難している」
「マーとトゥンベリは、中国が世界の工場として他国で消費される消費財を大量に生産しているという単純な事実も無視している。世論をごまかそうとする欧米に利用されないためにもトゥンベリさんはより良い教育を受け、より多くの知識を得る必要がある」
「中国を叩いて自分たちの欠陥を隠そうとする『中国罵倒中毒』だ」
グレタさんはこれまでにも温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱したドナルド・トランプ前米大統領や、資源国家ロシアのウラジミール・プーチン大統領からも批判されている。今回はそこに中国が加わった。しかし中国がトランプ氏やプーチン氏と異なるのは明確な中国共産党の論理を持っていることだ。
「中国は欧米を参考に削減目標を設定することはないだろう。中国のペースが欧米の世論に影響されることもないだろう。欧米が温暖化対策を進め、問題を解決するために何もできなくなったら中国を叩いて自分たちの欠陥を隠すしかない。『中国罵倒中毒』の症状だ」(環球時報)
中国にとって共産党一党支配を揺るがせる温暖化対策などあり得ない。今後は、貿易や産業だけでなく、資本、新型コロナウイルスなど感染症対策、温暖化対策でもデカップリングが進み、欧米と中露のパラレルワールドが出現する危険性が膨らんでいる。