日本有数の“親中団体”である創価学会
10月31日投開票予定の衆議院議員選挙に向けて公明党が発表した公約の内容が、政界の一部で話題になっている。
7日に発表されたそのマニフェストのなかで同党は、中国に関して「人権や基本的自由の尊重について、国際社会から具体的な懸念」が示されているとし、「透明性をもって説明し、国際社会に対する責任を果たすべきである」と批判。
また日中間に存在する尖閣諸島の領有権問題に関しても、「中国による一方的な現状変更の試みは、断じて認められません」との認識を示している。
公明党、およびその設立母体である日本最大の新宗教団体・創価学会は、長年にわたって日本屈指の“親中団体”として知られてきた。創価学会名誉会長・池田大作や公明党の歴代党首らは、周恩来に始まる中国の歴代指導層とたびたび会談。
創価学会を母体とする創価大学は、1972年の日通国交正常化以降、初めて中国人留学生を受け入れた大学のひとつで、同大のOBには元駐日中国大使の程永華といった大物もいる。
また池田大作はこれまで、世界中の大学などから「名誉教授」「名誉博士」といった学術称号を約400授与されているのだが、そのうちの120は中国(香港含む)の教育・研究機関から与えられたものである。ここまでの“親中団体”は、日本のなかにそうあるものではない。
公明党の中国共産党批判は路線転換と言えるのか
一方で、こうした創価学会の親中姿勢は、ある意味で当然と言うべきか、中国への過度な忖度、媚びを生んできたとの批判も長く存在する。
例えば創価学会、公明党は従来、核兵器廃絶を盛んに叫んできた団体である。東日本大震災以降には、原子力発電への過度な依存から脱却すべきではないか、といったメッセージも発信している。しかし、そんな創価学会、公明党が、世界有数の核保有国である中国に核兵器の放棄を強く迫ったなどという記録は存在しない。
宗教団体でありながら、中国政府によるチベット仏教、ウイグルのイスラム教弾圧に猛抗議した形跡もない。中国国内の民主派に対する圧迫や、日中間の領土問題といった課題に関しても、創価学会、公明党は、ほとんど見て見ぬふりと呼ぶに等しい姿勢で一貫してきた。それが彼らの“親中姿勢”の実際であった。
しかし今回の衆院選を前に、公明党はある意味で画期的とも言える中国批判を、その公約に盛り込んだ。これは果たして、公明党と支持母体である創価学会の一大路線転換のきっかけとなることなのだろうか。