<石炭火力発電所の建設を続ける中国を「気候変動の現実を無視している」と非難したグレタに、中国共産党機関紙の環球時報がかみついた:木村正人>
英北部スコットランド・グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)
写真=iStock.com/Mark Lowery
英北部スコットランド・グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)

[英北部スコットランド・グラスゴー発]英北部スコットランド・グラスゴーで開かれている国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)。「参加している政治家は私たちの未来を真剣に考えているふりをしているだけだ」――。

スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(18)は120人以上の首脳が集うCOP26世界リーダーズ・サミットが始まった11月1日、グラスゴーでの街頭活動でこう訴えた。

「COP26はこれまでのCOPと同じで、私たちをどこにも導いてくれない。COPでは政治家や権力者が私たちの未来を真剣に考えるふりをしているだけだ。これはリーダーシップではない。変革を求める私たちの行動こそがリーダーシップなのだ」

グレタさんは9月下旬、言葉ばかりで行動が伴わない世界の指導者たちの地球温暖化対策へのコミットメントを「くだらない、くだらない、くだらない(Blah, Blah, Blah)」と切り捨てた。

「ノーモアBlah, Blah, Blah」が温暖化対策の強化を求める若者たちのスローガンになり、脱石炭や電気自動車など脱炭素化の成果をあげたいホスト国のボリス・ジョンソン英首相もオープニングセレモニーで「Blah, Blah, Blah」を引用して各国の政治指導者に行動を促したほどだ。

グレタさんは10月29日、ロンドンで化石燃料事業への融資をやめるよう金融機関に訴える抗議デモにも参加。「人類の破壊に資金を提供するのをやめるよう求める。銀行は未だに化石燃料に多額の資金を投入し、地球を不安定にし、多くの人々の命を危険にさらしている」とツイートした。

「中国の石炭火力発電所建設は気候変動の現実を無視している」

英BBC放送の日曜番組「ザ・アンドリュー・マー・ショー」で「中国がいまだに石炭火力発電所の建設を続けているのに、なぜイギリスは変化を起こさなければならないのか」と尋ねられ、グレタさんは「誰かを非難するのは簡単。だからこそ国際社会の協力が必要だ」とする一方で「中国の石炭火力発電所建設は気候変動の現実を無視している」と答えた。

これに中国共産党機関紙、人民日報系の国際版、環球時報(電子版)がかみついた。

「15歳から学校をサボって、いわゆる気候変動デモに参加しているトゥンベリは欧米では熱心な環境保護活動家として描かれる。彼女は欧米が排出量を抑制するために十分な努力をしていないという事実から目をそむけさせるための優れた道具なのだ」

環球時報によると、グレタさんは中国のネットユーザーから「欧米政治家の操り人形」というあだ名をつけられているという。