県庁職員や市役所職員の消費支出が地方経済を支えているが…

ここへきて、「国の借金」は急増している。財務省が11月10日に発表した2020年9月末の「国債及び借入金並びに政府保証債務の現在高」は、1189兆9160億円と、前年同月末比で7.7%も増えた。新型コロナ対策で定額給付金や持続化給付金の支給に踏み切ったことから、3月末に前年同月比1.0%増だったものが、6月末には同4.8%増に跳ね上がっていた。

その後も「GoToキャンペーン」や家賃補償など、大支出を続けている。緊急の資金繰りなどのために発行する「政府短期証券」の9月末の残高は135兆2087億円と、3月末の74兆4188億円に比べて82%も急増した。

本来、給与の据え置きどころではなく、大幅なリストラに取り組まなければならない財政状態なのだが、霞が関にも永田町にも「身を切る」覚悟はないということだろう。

いやいや、ここで公務員給与を大幅に引き下げたら、デフレに舞い戻ってしまう、という声もある。国家公務員の給与に原則連動して地方公務員の給与改定も決まっていく。地方ではすっかり高給取りの部類に入った県庁職員や市役所職員の消費支出が地方経済を支えている、といった声を聞く。

そのツケは結局、国民に回ってくるだけ

だが、公務員は民間企業の従業員と違い、外部から収益を上げていないので、その支出は最終的には民間企業やそこで働く人々の税金で賄われることになる。ツケは結局、国民に回ってくるだけなのだ。

新型コロナによる経済活動の停滞で、今後、税収は大きく落ち込んでいくことが避けられない。2018年度に税収は60兆3563億円を記録したが、2019年度は法人税が減ったことから58兆4415億円となった。2020年度は企業業績が大幅に悪化することを考えれば、法人税収は激減することになるだろう。

2019年10月に消費税率を引き上げたことで、2019年度には消費税が18兆3526億円まで増えていた。2020年度は半年分の増税効果が加わるとはいえ、消費がさらに落ち込めば、消費税収の伸びも期待できない。