「公務員の給与を減らせばいい」というわけではない
かといって、増税できる環境でもない。税負担と社会保障負担の合計が国民所得の何%に当たるかを示す「国民負担率」は上昇の一途だ。2010年の37.2%から8年連続で上昇し、2018年度は過去最高の44.1%に達した。
消費増税による税負担の増加もあり、財務省は2020年度の見通しとして44.6%を掲げているが、これも低めの見通しだろう。新型コロナの影響で国民所得が減れば、国民負担率は一気に上昇することになる。どうみても新型コロナが終息し、経済がコロナ前の水準にでも戻らない限り、増税など不可能なのだ。
ここへきて、立ち行かない企業などが出始めたことで、公的資金の注入などを求める動きが出ている。これまで民営化を進めてきた部門でも、再び公的管理を強めようとする流れが生まれつつある。
単純に公務員のひとり当たりの給与を減らせばいい、というわけではない。政府の役割を見直し、仕事を整理して、全体の公務員人件費を抑えていく。民間企業では当たり前のリストラ、真の意味の「構造改革」をそろそろ真剣に霞が関で実施することを考えるべきだろう。菅首相が言う「デジタル庁」がその第一歩になることを祈るばかりだ。