「首相に辞任の意向を伝えたのは当然」と強調する朝日社説
朝日新聞(11月1日付)の社説は「真価問われる『丁寧な政治』」との見出しを付けてまずこう指摘する。
「9年近く続いた安倍・菅政治の弊害に正面から向き合い、政治への信頼を回復する。議論する国会を取り戻し、野党との建設的な対話を通じて、直面する内外の諸課題への処方箋を探る。首相が掲げる『丁寧で寛容な政治』の真価が問われるのは、これからである」
果たして安倍・菅政治の弊害を清算することはできるのか。政治への信頼を取り戻せるのか。沙鴎一歩も国民のひとりとしてしっかりと見届けたい。
さらに朝日社説は指摘する。
「派閥の領袖や閣僚経験者が小選挙区で相次いで落選するなど、不人気の菅首相を直前に交代させ、新しい顔で臨んだにしては、国民の期待を糾合することはできなかった」
「疑惑についての説明責任から逃げ回った甘利氏の落選は、『政治とカネ』の問題に対する有権者の厳しい評価に違いない」
甘利氏に対しては「首相に幹事長を辞任する意向を伝えたのは当然だ」と強調する。朝日社説の指摘や主張には、ときの政権を批判することが好きな朝日社説らしさが滲み出ている。
「進んで『言論の府』の再生に尽くすべきだ」
最後の部分で朝日社説はこうも主張する。
「与野党の議席差が縮まった今回の選挙結果を、強引で恣意的な政権運営の見直しにつなげねばならない。これまで首相官邸に追従し、内部から自浄作用を発揮できなかった与党議員は自らを省み、進んで『言論の府』の再生に尽くすべきだ」
「森友・加計・桜を見る会など一連の疑惑の真相解明も、政権が動かないのなら、国会こそが、その役割を果たすべきだ」
「強引で恣意的な政権運営の見直し」「一連の疑惑の真相解明」と朝日社説は手厳しく求める。ときの政権は日本における最高の権力だ。その権力を批判し、私たち国民のための政治の実現を目指すのは、新聞社説の大きな役目である。その意味で朝日社説の批判精神は重要だが、ときには評価することも忘れないでほしい。