テスラモーターズ。2008年に販売したスポーツタイプのEV「ロードスター」(日本での価格は、1340万6400円から)が、ハリウッドスターやセレブの間で大人気の電気自動車メーカーである。スタート100キロメートル加速が4秒以内と、ポルシェを超える性能が売りだ。
10年5月、同社は一挙に脚光を浴びることになる。トヨタが約41億円で3%の出資をし、EVの共同開発を決め、パナソニックも11月に約25億円を投じて、株式の約2%を取得し、電池の共同開発を表明したのだ。この日本の巨大企業が秋波を送る新興企業のCEO、イーロン・マスク氏のほか、キーマン2人の素顔に迫る。
イーロン・マスクCEO
東京にアジアで初の直営店をオープンしたのは、長期的に考えて日本が米国に次ぐ第二の市場になると考えたからです。トヨタ自動車とパナソニックがテスラの重要な株主であるだけでなく、タイヤは横浜ゴムから供給を受けるなど、キーパートナーやキーサプライヤーの多くが日本にいます。
とくにトヨタとの関係で言えば、いまRAV4型電気自動車(EV)の開発をしていただいている非常に大切な株主です。この車に関する最終的な意思決定はトヨタが下すことになりますが、初めの数千台は米国の工場で組み立てる可能性がある。トヨタとGMの合弁拠点で、10年4月に閉鎖された旧NUMMIの工場跡地では、まず量産型の新セダン「モデルS」の生産に入り、将来的にはRAV4型EVの最初の生産拠点になると考えています。
今回、直営店のオープンに当たり、豊田章男社長にスポーツカー「ロードスター」をプレゼントしましたが、大変喜んでいただけたようです。我々のような小さな会社には、トヨタから学ぶことは数多くあります。高い品質を保ちながらいかに量産体制を築くか、この点で、トヨタがお手本になる。章男社長は「テスラからいろいろ学びたい」とおっしゃいましたが、我々が協力できることは、章男社長の祖父(豊田喜一郎)の代からのトヨタの起業家精神を再び発見する、何かのきっかけになればということだと思います。
当面の計画として、12年半ばにモデルSを米国で先行発売し、その後日本でも販売を開始する予定です。年間2万台ぐらいの生産を予定し、順次車種を増やし、5、6年後には年間20万台程度の生産台数を目指します。