すでに中国企業の経営危機は広がっている

「中国は人治の国だから、共産党が力業でどうにでもするだろう」という声が出てきそうだが、マーケットが最も嫌うのは不確実性や不透明性である。A社は政治的判断で救われたが、B社はどうなるかわからないというのでは、秩序だった退出はおぼつかないため、混乱は容易に収束しまい。

すでに中国では国有企業か民営企業かにかかわらず、大手企業の経営破綻が増えており、業種も横に広がりつつある。不良債権問題の本丸だった建設・不動産業から、小売や商社、ついには健全と言われた製造業にまで経営危機が広がったかつての日本にそっくりだ。

五星紅旗に急落する株式チャートが映し出されているイメージ画像
写真=iStock.com/ronniechua
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さらに言えば、ヤオハンのデフォルト後、日本では比較的格付けの高い企業であっても、資本市場で社債を発行できないケースが相次いだ。市場を循環する投資資金が凍り付いたためであり、現在の中国は当時の日本を上からなぞるように、資本市場が機能不全を起こしている。

中国政府と地方政府がこうした危機的状況をどこまで支え続けられるのか。市場主義経済を導入して日が浅い中国で、制御不能な自然災害にも似たマーケットの怖さを中国政府や地方政府がどこまで理解しているのか。

ややテクニカルで地味な話ではあるが、それだけに「市場の出口」の問題は法制度の整合性をとりつつ、国ごとの金融慣行に合った方策を一つひとつ積み上げていくには時間がかかる。おろそかにすればデフォルト後の混乱は深まり、解決に時間がかかるばかりだろう。

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