ドイツ議会は3人に1人が40歳未満

9月末、ドイツで総選挙があった。選挙では、長くドイツを率いてきたメルケル首相の後継のラシェット氏率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が第2党にくだり、世界で注目を集めた。この選挙でもう1つ話題になったのは、若い候補者が多数当選し、戦後最も若くて多様な議会になったことである。選挙前には、40歳未満の議員の割合が7人に1人だったのが、選挙後には3人に1人の割合になった。

今回、緑の党から当選したエミリア・フェスターさんは23歳の大学生で、議会にはスケートボードで通勤しているという。また、自由民主党(FDP)から当選したマハナド・アルハラクさんは31歳。11歳の時にイラクからやってきた移民だ。

ちなみに、世界の国会議員が参加する列国議会同盟(IPU)が2018年に発表した統計によると、日本の衆議院の40歳未満の議員比率は8%。世界で一番割合が高いのは、デンマークの41%だった。

カギは「被選挙権年齢の引き下げ」

果たして、若者パワーがさく裂するような変化が、日本にも訪れるのだろうか。

三浦教授は、いずれその波は日本に来るのではないかという。しかしそれには、被選挙権の年齢引き下げの必要があるという。

日本では、選挙権は18歳になったが、被選挙権は依然として衆議院は25歳、参議院は30歳だ。一方ドイツをはじめとするヨーロッパの国々では、選挙権を18歳から16歳に引き下げる議論をしている。

「若い人が早くから選挙権や被選挙権を行使できた方が、未来のことを真剣に議論できるのではないでしょうか。若い世代にとっては、気候変動は自分たちに関わる深刻な問題ですが、70歳のおじいちゃん世代にとってはあまり関心がないかもしれない。この世代差は大きいと思います」(三浦教授)

例えば、中学から主権者教育を行い、義務教育で地元の学校から議会の傍聴に行く。中学生が傍聴しているとなれば、議員は居眠りをしてはいられない。もし16歳から選挙に行くのであれば、親も選挙に行くだろう。三浦教授は、「子どもが選挙に行くと親への教育効果があると、ヨーロッパでは指摘されているんです」と語る。

そんな話を聞きながら、ひと昔前、私が記者として国会を担当していた時、国会見学に来た子どもたちが廊下を歩いてきた時のことを思いだした。

子どもたちを見て、それまで廊下のソファでウトウトしていたり、壁に寄りかかってのんびりしていた、その場にいた大人全員がピリッとなったのだ。今となっては、笑えない思い出だが、そんな改革を地方議会から始めるとよいかもしれない。そうすれば、若い世代の中に地元愛も生まれ、大人になっても地域に残る人、戻ってくる人も増えるのではないだろうか。