「韓国司法の暴挙を許すな」と産経社説

9月29日付の産経新聞の社説(主張)は「資産売却命令 韓国司法の暴挙を許すな」との見出しを掲げ、冒頭で「日本企業に実害が生じる事態が迫る、看過できない暴挙である」と指摘する。

そのうえで産経社説は訴える。

「茂木敏充外相は28日の記者会見で『極めて遺憾だ。現金化は日韓両国に深刻な状況を招く』と述べた。実際の売却までにはまだ時間がかかるとみられるが、日本政府は座視してはならない」

岸田文雄首相は韓国の文在寅政権に対して強く抗議すべきである。長い外相経験があるからことの重大性は理解しているはずだ。いまこそ韓国政府にはっきりとものを言うべきだ。

産経社説は「韓国政府への抗議は当然としても、この不当性を広く国際社会に訴えるとともに、韓国政府の具体的行動を求める厳しい措置が必要である」とも主張する。

日本政府は国連などの国際会議の場で韓国司法の理不尽な判断を訴え、日本政府の正当性を示すべきである。もちろん何ら具体的対策を示そうとしない文在寅政権の不甲斐なさを指摘し、強い対抗措置も講じたい。

文在寅大統領には政治決断を下すだけの能力がない

産経社説は指摘する。

「日韓の賠償問題は1965年の日韓国交正常化に伴う協定で個人補償を含め解決済みだ」
「ところが韓国最高裁は、個人の請求権は消滅していないとの判断に転じ、日本企業に賠償を命じた。同種訴訟が相次ぐ要因となっている。その判決では法律に基づく徴用を『不法な植民地支配と侵略戦争遂行に直結した反人道的不法行為』などと決めつけた」

1965年の日韓請求権・経済協力協定があるにもかかわらず、「個人の請求権は消滅していない」という韓国大法院(最高裁)の判断は歪んでいる。司法が反日感情によって判断を間違えることがあってはならないはずだ。

産経社説は主張する。

「最高裁が史実を歪め、文在寅政権も『司法の独立』などを盾に責任ある態度を取らない。まっとうな法治の国には遠く、安定した関係など築けない」

徴用工の問題を解決するには、文在寅大統領が大法院判決の非を指摘する政治決断を下し、韓国国民に理解を求める必要がある。そのうえで韓国政府が原告に賠償金を支払うべきだ。それならば日本政府も納得できる。これが政治決断というものだ。

しかし、文在寅氏にはその気がない。いや、その気がないというよりも政治決断を下すだけの力量に欠けている。問題の解決は次の大統領に託すしかないのかもしれない。