万引きした食品をカビても腐ってもためこんでいた女性

共通点4:枯渇恐怖とため込み

盗撮で自己使用せず「盗撮のための盗撮」に移行していくタイプの人のなかには、画像を見返すことなくため込むタイプの人もいます。この行為も、窃盗症に通じるものがあります。これはかつて私が関わった窃盗症の女性の話なのですが、彼女は過食嘔吐をするために食料品を万引きすることが常習化していました。彼女は万引きして手に入れた食料品を、冷蔵庫ではなく自室に置いていたのです。当然、夏場は腐ったり、カビが生えたりすることもありますが、それでもなお自室にため込み、過食嘔吐を繰り返していたというのです。

このように、ものをため込みたい、ストックがないと不安になることを「枯渇恐怖」といいます。そしてため込む行為を精神医学では「強迫的ホーディング(compulsive hoarding)」や「ため込み」と呼びます。ため込みの対象は、実際の価値にかかわらず、新聞や雑誌、古い洋服、かばん、本、郵便物、書類などのほか、電子媒体も含まれ、いかなるものでも対象となり得ます。いわゆる収集家(コレクター)とは異なり、整理した状態でため込むのではありません。

3.63テラバイトの盗撮動画をためこんでいた男

もちろんため込みを行っているからといって、まったく自己使用しないわけではありません。この女性のように一部は自己使用しているケースもありますし、ため込むこと自体が目的化している場合もあります。

斉藤章佳『盗撮をやめられない男たち』(扶桑社)
斉藤章佳『盗撮をやめられない男たち』(扶桑社)

依存症でなくとも、自分のクローゼットに洋服がいっぱい入っていないとなんだか不安、という人がいるかもしれません。そういう人にとってクローゼットは、自分の心の表れにもなっています。

そしてこの枯渇恐怖は、盗撮加害者にも見られます。彼らにとってスマホのフォルダの中身と心の様子は一致しています。

2020年10月、有名大学医学部の医師が、看護師や女子高生の盗撮動画を15年間かけて3.63テラバイトも撮りためていた事件がありました。1テラバイトは、20万枚以上の画像が保存できる容量ですから、これは相当の量です。

撮ったらそれで満足してデータを消去してしまう人がいる一方で、枯渇恐怖の人はデータを消去されることに過敏に反応します。消されてしまうと心のバランスが取れなくなってしまい、それ自体が次の盗撮行為への渇望につながってしまうからです。

【関連記事】
「仕事やお金を失ってもやめられない」性欲の強さと関係なく発症する"セックス依存症"の怖さ
「どんな人なのかが一発でわかる」銀座のママが初対面で必ず確認する"身体の部位"
「日本人はすでに絶滅危惧種になっている」若さを失った日本でこれから起きること
「いつまでオレを待たせるんだ」オジサンがコンビニ店員に横柄な態度を取りがちな根本原因
小田急線刺傷事件、痴漢、セクハラ問題…なぜ「男だって大変」説が支持されるのか