何度逮捕されても盗撮を繰り返す人たちがいる。加害者臨床を専門とする精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんは「盗撮をやめられない人の中には、撮った画像を見返さない人も多い。『捕まるかも』というスリルと、バレなかったときの安堵感が、再犯の呼び水になっている」という――。
※本稿は、斉藤章佳『盗撮をやめられない男たち』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
盗撮と窃盗症には共通点が多い
かつて『万引き依存症』(イースト・プレス)を執筆しているとき、窃盗症と盗撮のメカニズムが極めて似ていることに気づきました。
窃盗症には女性が多く、盗撮加害者は男性ばかりなので、その性別こそ違いますが、人間の行動原理やメカニズムとして、問題行動に耽溺し依存するプロセスや特徴は非常に似通っています。また、いずれも犯罪行為ですし、被害者が存在します。盗撮の被害者は撮影された人(主に女性)ですし、万引きの被害者は商品を盗まれた店舗や、そこで働く従業員です。
まずは、アメリカ精神医学会が出している精神疾患の分類と診断の手引きである診断ガイドライン『DSM-5』における窃盗症の診断基準からA~Cを明記します。
窃盗症の診断基準
A:個人用に用いるためでもなく、また金銭的価値のためでもなく、ものを盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
B:窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり。
C:窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感。
A:個人用に用いるためでもなく、また金銭的価値のためでもなく、ものを盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される。
B:窃盗に及ぶ直前の緊張の高まり。
C:窃盗に及ぶときの快感、満足、または解放感。
これらが、いかに盗撮行為との親和性が高いかを、順に見ていきましょう。