私は、大学の第二外国語でドイツ語を選択し、銀行員時代に日常会話程度はできるようになった。その後、エジプトのカイロに留学させてもらってアラビア語を習得し、ベトナム駐在時代にベトナム語も習得したが、これらの言語をビジネスで使う機会はほとんどなかった。ドイツでドイツ語しか通じないのは片田舎だけだし、中近東のビジネスマンはたいてい英語を話す。

話せる人口が多いのはダントツで英語
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話せる人口が多いのはダントツで英語

英語以外にもう1つあえて挙げるとすればフランス語だろう。アフリカのフランス語圏、アルジェリア、モロッコなどではフランス語がビジネスや日常生活に用いられ、ほかの国々でも英語はできないがフランス語ならできるという人たちに時折出会う。ただし、フランス語の有用度は、英語の何十分の一である。もし、2つ目の外国語を習得するならフランス語がほかより少しマシという程度でしかない。

英語だけでもマスターするのに相当の時間と労力を要する。他の言語はどうしても必要になったときに学べばいい。ましてや、将来の進路が見えていない子供ならなおさら英語だけに的を絞るべきだ。

語学の習得には集中力が不可欠だ。私の場合、高校時代は『英単語連想記憶術』という本で単語力を磨き、大学では毎日30分~1時間、「リンガフォン」をひたすら反復学習した。

いい教材があると聞くと次々に乗り換える人がいるが、これはダメだ。竹村健一氏は「これだけ手帳」をつくったが、私は「これだけ教材」を提唱したい。一度教材を定めたら、これさえやれば必ず英語が話せるようになると宗教のごとく信じて、徹底的に体に覚え込ませる。大切なのは反復訓練をやり抜けるかどうかであって、語学の習得に頭のよし悪しはまったく関係ない。

(山田清機=構成 川本聖哉=撮影)