気候変動に対応しない企業は背を向けられる
このように、今や気候変動をめぐる要求は、市民活動家だけでなく、資本市場、サプライチェーン、さらには従業員、消費者からも強まり始めている。一橋大学の名和高司特任教授は「今は『エシカル消費』という言葉が出てきているように、ミレニアル世代やその下のZ世代は、環境や社会に良いことをしている企業しか応援しなくなり始めました。つまり、そうでない企業にとっては買われなくなるリスクが増えている。そうなると、消費者市場から背を向けられてしまうことになります」と話す。
もはや、気候対応と無縁でいられる企業はない、といっていいだろう。ESGの情報公開や指数の選定を始め、まだまだ環境は未整備で抜け穴があるのも事実だが、あらゆる気候変動対策の大きな波が押し寄せていることは間違いない。
「これまでは気候変動の問題はエネルギーや金融業界ぐらいしか関係ないと思われていましたが、もはやあらゆる企業にとってのリスクであり、同時にチャンスになっています。私は気候変動問題対応やESGを『まあ流行り物のファッションでしょう。サステナビリティといっても儲からないし』として捉えている経営者は、かなりリスクのある経営判断をしているのだと思っています」。ゴールドマン・サックス投資銀行部門出身で、再エネのレノバ元CFOの森暁彦はこう指摘している。