iPhoneは本当にどんどん高くなっている?

9月17日から「iPhone 13」シリーズの予約が開始された。最も高い「iPhone 13 Pro Max/1TB」の価格は、アップルでの販売価格が19万4800円(税込)とかなり高い。このこともあってか、「iPhoneはどんどん高くなる」という声も聞かれる。

15日にアップルが発表した新型iPhone
9月15日にアップルが発表した新型iPhoneのラインナップ

しかし、ちょっとその判断は待ってほしい。

iPhoneを中心としたハイエンド・スマートフォンに高いものがあるのは事実だ。だが、「スマホ全体がどんどん高い値段になっている」というわけではないし、iPhoneも高いのは一部のモデルである。

スマホの販売方法も変化しており、それを加味しなければ正しい認識は持てない。一方で、「スマホが高い」という印象を持つのは、日本の世帯収入が上がっていないこととも無関係ではない。

ここで改めて「スマホが高い」という現象と認識について考えてみたい。そこから見えるのは市場の変化そのものだ。

最高価格は8万円台→22万円台になったが…

iPhoneの新型は発売当時いくらで売られていたのか? 5年ごとの変化を見てみよう(図表1)。下記はすべてソフトバンクでの販売価格である。

iPhoneの販売価格(ソフトバンク)

2008年、日本で初めて販売された「iPhone 3G」は、ストレージが8GBのモデルが6万9120円、16GBのモデルが8万640円だった。

2018年、9月に発表されたiPhoneは3ラインに増えていた。比較的安価な「iPhone XR」と、スタンダードな「iPhone XS」、そして最上位機種の「iPhone XS Max」だ。XRの最も安価なモデルが10万6560円、XSが13万6800円から。XS Maxの最も高価なモデルは19万2960円になっている。

確かに、この5年の間で値段がいきなり跳ね上がった印象はあるかもしれない。

今年のiPhone 13は、「iPhone 13 mini」「13」「13 Pro」「13 Pro Max」の4ライン。為替の影響か若干の価格変化はあるが、2018年からの価格変化は小さく、実際、アメリカでの売価は変化していない。

これだけを見ると「昔と比較すればiPhoneは高くなった」と思うだろう。実際そうだと思う。

ただ、「際限なく高くなっている」というのは違う。ハイエンドモデルが追加されたことによる印象論であり、正しい認識ではない。多くの人が購入するスタンダードモデルの値上がりは、初期と比較しても2万円程度である。