ハイブリッド車もEUでは禁止に
EU(ヨーロッパ連合)は2021年7月、内燃機関車の新車販売を2035年までに禁止する方針を掲げた。方針によれば、新車はEV(電気自動車)に限られ、日本が得意とするハイブリッド車も販売できなくなる。
しかし完全EV化は、EUの自動車産業にも打撃を与えかねない。フェラーリ、メルセデス・ベンツ、BMWなど、ヨーロッパ車はもともと内燃機関に強いのが特徴の1つだった。新車がすべてEVでは、内燃機関の技術が活かせない。テスラなどのアメリカ勢、中国勢、日本勢との差別化は難しい。
自分たちに強みがない領域へ突き進もうと、EUがEV化を進めるのは、カーボンニュートラル(温室効果ガスの純排出量ゼロ)を達成する計画があるからだ。各国は2050年までにカーボンニュートラルを達成することに合意している。今のヨーロッパで環境政策は唯一の“共通国家戦略”であり、ほかに政治的に通用する課題はない。
産業界では環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視するESG投資とESG経営が広がっている。ヨーロッパでは、個人も環境政策に協力するのがインテリの証しとなっている。例えばスーパーで牛乳を買うときは、家から牛乳瓶を持っていく。重くても、量り売りで買うほうが、プラスチックや紙の容器を使わなくてすむからだ。