身分違いの純愛を描いた『紺屋高尾』のよう

紺屋高尾のあらすじは、兄弟子に誘われて吉原の夜桜見物に繰り出した染物屋職人の久蔵が、「花魁道中」で見かけた三浦屋の高尾太夫に一目惚れしてしまうところからストーリーは始まります。

寝ても覚めても高尾太夫のことが忘れられない久蔵は恋い焦がれて死ぬほどやつれるのですが、親方に「十五両こしらえてみろ。そうすりゃ会わせてやるから」という言葉を墨守ぼくしゅ(頑固に守り通すこと)し、5年かかるところ夜も寝ないで働き3年で15両こしらえます。

そしてそこで、吉原に詳しいという医者・薮井竹庵のサポートを仰ぎます。その際、竹庵から「染物屋の職人だと会えなくなるから、流山の金持ちの若旦那という設定で行け」とアドバイスを受け、「大金持ちの若旦那」という「ウソをつくこと」でようやく念願の高尾太夫に会えます。

一夜を共にした後、高尾太夫の「次はいつ会えます?」という問いに対し、もうこれ以上ウソが吐けなくなったと観念した久蔵は「本当はただの染物屋職人だ」と涙ながらに正直に身分を明かします。その結果、その情にほだされ、久蔵の真実の愛によろめいた高尾太夫が、あくる年の3月15日、久蔵の元へ「高貴な身分を捨て嫁いでゆく」というピュアラブストーリーです。

いい話ですよね。この11月21日で没後10年になる師匠談志の十八番でもありました。

この落語と「お二人の共通点」を挙げてみましょう。

3年の遠距離恋愛を乗り越えた小室圭さん

まずは「身分の差」です。

全盛をときめく三浦屋の高尾太夫という絶世の美女は「遊女三千人御免の場所」の中の最高級の「花魁」という地位です。江戸っ子の憧れの的という立場で、公的にも花魁は大正年間には文芸雑誌の表紙を飾るほどの国民的スターでありました。「眞子さまと小室圭さんの立場」とほとんど同じと言ってもいいのではないでしょうか。

続いて、「小室さん側(特に母親側)がウソというか若干の不信感を抱かせた」という点です。落語では久蔵さんが「金持ちの倅」というウソをつきますが、小室さんにもそのような「経歴にまつわる疑惑」はワイドショーが取り上げていました。

そして、「似ている項目」の一番の眼目であるのが、久蔵と小室さんがお互い「3年以上辛抱して、目標を達成させた働きぶり」です。久蔵が「3年で15両こしらえる」のと、「ほぼ3年みっちり法律の勉強に励み現在ニューヨークの法律事務所に勤務している」のとは、まったく同じと言っても差し支えないのではないでしょうか。

自由の女神が見えるニューヨークの街並み
写真=iStock.com/Veni
※写真はイメージです

つまり、高尾太夫も、眞子さまも、惚れたのは久蔵と小室さんの「タフネスぶり」だったのではと確信します。

女性が男性にときめくのは、「未来を変えてくれる可能性」ではないでしょうか? その具現化がお金だったり、頑丈な身体だったりするから男はそれらが可視化されるという意味で年収を上げようとしたり、筋トレに励んだりと必死なのです。

そういう意味で言うと久蔵も小室さんも「精神的なマッチョ」ではないかと推察します。

会いたくても会えない日を「3年待った」のです。