入社後からいきなりプレーイングマネジャーに

加盟店をサポートするSVの“現場力”は入社後の店長経験で磨かれる。店長といっても日販50万円なら年間1億8000万円の売上高をコントロールする責任を負う。中村人財開発部長は店舗経験を「マーケティングとマネジメントを含む加盟店オーナーの疑似体験の場と位置づけている」と指摘する。

「データだけではどんな人がどういうものを買っているのかイメージが湧かない。実際にお客さんに接することで、何曜日に買いにくるのか、もしかしたら誰かと一緒に食べているかもしれないという想像が働くもの。今度そのお客さんが来られるときに欠品がないようにしようとか、生のマーケティングを経験してもらう。また、コンビニといっても15人ぐらいのアルバイトがおり、社員と違って、突然出勤できないという事態も発生する。アルバイトをいかにマネジメントするかも経験してもらう。こうした加盟店のオーナーの疑似体験をすることが、SVとしてオーナーに対する指導やアドバイスをするときに役立つ」

まさに入社後からプレーイングマネジャーの経験を積ませる。教育はOJTだけではない。入社後1~2年間は知識習得のeラーニング以外に年間6回の2泊3日の研修も実施している。テキストを使っての講義形式ではなく「課題を設定し、参加者がお互いにディスカッションしながら知恵を共有する」(中村人財開発部長)実践的な研修を行っている。

報酬や昇進の仕組みも明確である。毎月の給与は就いた役割ごとに定額を支給。SVは8階層、支店長は単一の金額が支給される。ただし、給与は同じ役割なら同額であるが、賞与については評価によって大きく変動する。

SVまでの非管理職層は年収の25%、支店長以上の管理職は30%を賞与が占める。

SVの賞与評価は実績などの定量的部分とプロセスの両面から評価され、評価ウエートは6対4の割合だ。プロセス評価は「SVがこなすべき一通りの仕事ができて標準の評価になる。そのうえでオーナーと対話し、店を変えていくことができればプラスの評価となり、逆にそれができなければマイナス評価となる」(日野人事企画部長)仕組みである。

また、賞与には支店単位の実績も加味される。ある支店が全国でもトップクラスの成果を挙げた場合、支店に配分する賞与の原資が増えるが、逆に成果が低い支店は配分原資が減る。したがって個人の評価は同じでも受け取る賞与の額は異なる。狙いは支店単位でのチームワークの重視にある。

「個人が自らの成果追求に走ることなく、チーム全体で情報を共有し、組織としての成果に結びつけていくやり方を目指している。とくにエリア戦略を非常に重視しており、エリアでいかに効率的に店舗を配置し、最終的には競合店に打ち勝ち、いかに収益を上げていくかが課題となる。そのためにはエリアにふさわしいやり方とはどういうものかについて支店内で侃々諤々の議論を行い、加盟店のオーナーさんとの打ち合わせをしながら戦略を練ることが極めて重要になる」(日野人事企画部長)