大きな資産を築く人は、お金とどのように付き合っているのか。実業家の堀江貴文さんは「お金持ちと言われる人たちの多くは、決して貯金上手ではない。お金をあるだけ興味の対象に使い、貴重な体験を蓄え、気づいたら資産家になっている」という——。

※本稿は、堀江貴文『破戒のススメ』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。

実業家の堀江貴文さん
撮影=的野弘路

ふだんの「貯金」額は1000万円を超えたことがない

いまだに、僕は資産家と思われているふしがある。

交流関係を厳選しているので最近はだいぶ減ったが、いまだに初対面の人から「堀江さん、ぶっちゃけいまいくら持ってますか?」と無遠慮に聞かれたりする。

失礼すぎない? ていうか、お前に言うわけないだろ! と、キレたくなる。

たしかに僕は、数十のプロジェクトを回し、大部分は黒字成績を挙げているので、まあまあの定期収入はある。よく、有名な経営者が謙遜して「全然、自分なんか稼いでませんよ」と言うが、僕はそんな無意味な謙虚さは持たない。

大儲けしているわけではないけれど、やりたいことをやるのに必要な資金は、ほぼ自力で工面している。ふだん使っている出費だけを見れば、おそらく日本では富裕層の部類に入るのだろう。

でも実は、手元に置いてあるお金は多くない。ふだんの「貯金」額は1000万円を超えたことがないし、現金はほぼ持ち歩かない。いくら持っているか? という意味では、大手企業に勤めて退職金を受け取ったり、地道にNISAやiDeCoに投資している人の方が、お金持ちだと思う。

では、僕は稼いだお金を何に使っているのか? スタートアップへの投資やロケット開発、海外旅行、仲間たちとの遊びにすべて注ぎこんでいる。特にロケット開発では、事業に着手してから実に60億円以上の私財を投じた。これからも投じ続けることになるだろう。

僕は、人より稼いでいる。同時に、人の何倍も浪費家だ。

それでいい。お金が足りなくて困ったことは、一度もないからだ。使えば使うほど、自由になるお金が増えていった気がする。