「現金貯金より、経験貯金」が資産家への確実なルート

お金をお金のままで持っているのは、無意味だ。やりたいことのために使いきることで、初めて用途が活かせる。収入があったとき「ひとまず貯金しよう」などと、バカなことをしてはいけない。

実業家の堀江貴文さん
撮影=的野弘路

使うことが存在意義のお金を、使わずに貯めておくのは骨董品収集と大差ない。置いておけば市場価値が上がるかもしれないぶん、骨董品の方がまだマシだ。

1万円を寝かせておいて、1万円以上の価値になるわけがない。遊びや投資に使って、1万円以上の価値を生み出すのが人間の知恵であり、お金という便利な道具を考えついた先人への礼儀というものだ。

お金を得たら、新しい挑戦や、好奇心を満たす遊びにすべて使いつくしてほしい。そうすることで、生きた経験が身につく。経験こそが、人生を楽しく豊かなものにする。経験は、あなたのステージや、見ている景色をいまよりもはるかに高めてくれるのだ。

お金持ちと言われる人たちの多くは、決して貯金上手ではない。お金をあるだけ興味の対象に使い、貴重な体験を蓄え、気づいたら資産家になっているような人たちだ。

「現金貯金より、経験貯金」が資産家への確実なルートなのだ。

お金より経験を得るチャンスを増やす

僕は大学生になって以降、貯金をまったくしていない。財布の中身が尽きて、手作りの粉もの料理で空腹をしのいだり、人並みに貧乏学生生活を経験した。でも、平気だった。

アルバイトで多少まとまったお金が入れば、友だちと遊びに行き、見聞を広めるために景気よく使った。使うだけ使いまくって、後悔したことはない。お金を使って得た経験によってコミュ力は上がり、優秀な人との出会いも増えた。

起業して以降、事業は急成長して、銀行口座には信じられない額のお金が入ってきた。残していれば、いまごろ悠々自適の億万長者だったかもしれない。でも、貯金額を維持するより、若いときだけに得られる出会いや運、興奮や体験をお金で取りに行くことの方が、何百倍も大事だった。

僕が身につけた数えきれないほどの体験は、もう同じ額のお金を投じても取り戻せない。不要不急を重ねて、どっさり積んだ経験こそが、僕の本物の財産だといえる。いまという時間を楽しみ、お金は好きなだけ使ってしまえ! もしパートナーが「ブロック」などしてくるようなら、僕はためらいなく別れるだろう。自分のコアとなる価値観を否定する人と一緒にいて、幸せになれるとは到底思えないからだ。ムダな貯金で、人生の価値を高めるチャンスを失ってはならない。