「中学受験での偏差値50は高校受験での偏差値70くらい」

ゆる受験を選択した場合、1年間の受験準備をして狙えるのは、偏差値50程度の学校になると西村氏。

「偏差値50と聞くと、ちょっと低いのではと思ってしまう親御さんも多いかもしれません。しかし、受験塾に通う優秀な子供たちの中で、真ん中くらいの成績にあたります。また、中学受験での偏差値50は高校受験での偏差値70くらいに相当します」

1年間の受験勉強で合格できる学校の中にも、魅力的な教育をしてくれる学校はたくさんあるそうだ。

「歴史や伝統、高い教育力があるのに、派手にPRすることを好まないために、あまり知られていない学校が埋もれているのです。こうした学校は特に伝統的な女子校に多いですね。中高一貫教育に携わってきた歴史が長く、情操教育や進路指導について蓄積したノウハウがありますし、先生たちの質も高いです」(西村氏)

西村氏が薦めるのは、共立女子跡見学園山脇学園だ。

「共立女子、跡見学園は20年ほど前まで、女子校トップの桜蔭の併願先として人気でした。共学校の躍進もあり、このところ偏差値は低迷傾向ですが、教育力が下がったわけではありません。共立女子は内部進学の権利をキープしつつ、難関大を目指すという子が昔から多いため、進学指導の力には定評があります。山脇学園は面倒見が良く、GMARCHに多数合格者を輩出しています。3校に共通していえるのは、子供たちが自分のやりたいことを見つけて6年間打ち込める、のびのびした雰囲気があるということ。また、ベテラン教員が若い教員を上手に教育し、それぞれの校風になじませている印象があります」

瀬川氏が薦めるのは、三輪田学園富士見普連土学園の3校だ。

「私も数多くの学校を見てきましたが、三輪田学園は教員の指導力が極めて高い学校です。富士見はGMARCHをはじめ、国公立大学にも多くの現役合格者を出し、2020年は東京大学の推薦入試合格者も出ています。また、山種美術館とのつながりから情操教育への造詣も深いです。偏差値程度というのはかなりおトクといえるでしょう。普連土学園は英語教育にたけており、塾なしで多くの生徒がGMARCH以上へ進学しており、1学年120人ほどの小規模校で面倒見が良い学校です。1年での合格は少し難しいですが、ぜひチャレンジしてほしい学校ですね。こうした伝統校は、有名大学への指定校推薦枠が充実しており、新設の人気校と比べて偏差値のわりに大学進学に有利といえるでしょう」(瀬川氏)

西村氏によれば、共立女子については2年程度の対策期間が必要になるものの、その他の学校であれば、6年生の夏休み前までに受験勉強を始めれば十分狙える範囲だそうだ。

日本の女子学生
写真=iStock.com/ferrantraite
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