決して一枚岩の組織ではないタリバン

■アフガニスタンは再びテロの温床となるか

タリバン政権の復活で、アフガニスタンが再びかつてのようなテロ組織の温床になるのではないかという懸念についてはどうか。

9.11テロが結果的に自らの政権崩壊につながったことは、タリバンも十分に理解している。アフガンの復興・発展のためには諸外国からの経済支援や人道支援が欠かせない点からも、「第1次タリバン政権」の二の舞は踏まないという強い意識を持っていることだろう。よって、今後タリバンが政権を主導していくにあたっては、テロ組織との関係断絶を求める諸外国の要望に対応する必要があり、短期的には「テロの温床化」の可能性はかなり低いだろう。

一方で、タリバンは決して組織として一枚岩ではなく、内部には穏健派もいれば強硬派もいる。タリバンを離反して、先日カブール空港での自爆テロを起こした「イスラム国ホラサン州(ISIL-K)」に加わった戦闘員も多い。タリバン政権の運営次第では中長期的には政権の脆弱ぜいじゃく性が露呈し、アルカイダなどジハード組織が自由に活動する空間が拡大し、テロの温床化が現実味を帯びてくる可能性もある。

とはいえ、そうした組織の活動がどのくらい野放しになるかは程度問題である。国際社会の強い懸念や監視の目があることを考えれば、アフガンが急速にテロの温床化する事態は、現時点では考えにくい。

■タリバンはアルカイダと関係を断てるのか

アフガニスタンにはアルカイダのメンバーが400~600人、インド亜大陸のアルカイダ(AQIS)のメンバーが150~200人ほどいるとされる。西側諸国が期待するように、タリバンがアルカイダと関係を絶つことは可能なのだろうか。

結論を言えば、それは極めて難しいだろう。

アメリカなど諸外国が求めているのは、タリバン指導部がアルカイダとの関係を絶つことを公式に表明し、透明性を伴ってそれを実行していくことだ。しかし、アルカイダが軍事・財政的支援を与え、タリバンが隠れみのを提供するという長年の蜜月関係のなかで、相互の構成員の間に親族同士の婚姻関係が発生しているようなケースも少なくない。

こうした構成員にとって、タリバンがアルカイダと関係を絶つことは家族関係の断絶を意味する。アルカイダ構成員と関係の深いタリバンの構成員が、上層部の決定に反発してアルカイダに流れることも考えられ、組織全体の関係断絶はそう簡単には進められないだろう。