勉強は大切だけど、食いぶちを稼げることも大切

メアリーさんは、将来、ファッション関係の仕事につくという目標を持っています。服やアクセサリーが好きで、小さな頃からフリマで鍛えているので、目利きには自信があるといいます。学校も服飾系に進む予定。卒業したらメーカーに就職し、流通について学び、その後に自分の店を持つのが夢だそうで、その内容があまりに具体的でしっかりしているので驚きました。

モダンなショップブティック
写真=iStock.com/kurmyshov
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裕太さん曰く、「僕は仕事ができないとすぐにクビになるアメリカで10年も働いていたので、メアリーは仕事ができる子に育てたかった。日本ではまだ結婚が永久就職なんていうケースもあるけど、アメリカでは結婚してもいつ離婚するかわからない。その時、不本意な仕事しかできないと惨めでしょう。だから女の子でも食べていける才覚が必要。勉強も大切だけど、まずは自分の食いぶちくらいは稼げる、それも好きなことで稼げることが大切。メアリーもいずれ親元を離れなくてはならなくなるからね」。

アメリカでは高校を卒業したら家を出て一人暮らしを始めるのが一般的だそうです。ただ、メアリーさんは大学か専門学校を卒業するまでは親と一緒に暮らすとのこと。

「彼女は貯金もあるし、稼ぐ才能もあるから、もういつでも一人で暮らせると思うけれど、学校を卒業するまでは家にいるというのは、僕たちが子離れできる時間をくれるということかな」

30歳になっても、親元から巣立てない子供

前述のメアリーさんとは対照的に、自信がなく、親元から巣立てない子供もいます。

私の知人の娘さんである知恵さんは、30歳になっても仕事以外で人と関わることを避ける生活をしています。なぜかといえば、自分に自信がないからです。

付き合った男性もいました。彼は知恵さんの控えめなところが好きだと言ってくれたのですが、「どこに遊びに行きたい」と聞いても「何を食べたい」と聞いても、自分からこうしたいと言えずに言葉に詰まる知恵さんに最後は物足りなさを感じたのか、離れていきました。それ以降、男性から声をかけられても、後ずさりするようになってしまいました。

知恵さんの母親は彼女と正反対の自己主張が強いタイプで、「私はこうしたい」ということをはっきり言う人です。人柄は良いのですが、思い通りにならないと気が済まない。いっぽう父親は、物静かなタイプで何でも受け流す。