子供の自立心を育てるにはどうすればいいのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんは「人生は選択の連続だ。子供が選んで、自ら責任を持つことの繰り返しが、自立心を育てる訓練になる」という――。

※本稿は、荻原博子『親が子供に教える一生お金に苦労しない12の方法』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

黒板の財務チャート
写真=iStock.com/eternalcreative
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「子供が稼ぐことは、悪いことではない」

「僕の娘は、僕よりもお金持ちかもしれない」

そう言うのは、妻がアメリカ人の裕太さん。彼の16歳の娘のメアリーさんは、ネットオークションやネットのフリマにはまっていて、家族や親戚の着なくなった服やアクセサリーを引き取っては自分で洗濯して袋詰めにし、売って小遣い稼ぎをしているそうです。

日本では子供が商売まがいのことをして儲けることには反対という親が多く、「そんな時間があったら勉強しなさい」と言われてしまいそうですが、アメリカ暮らしが長かった裕太さんは、「子供が稼ぐことは、悪いことではない」と言います。

メアリーさんが自分でお金を稼ぐことを始めたのは小学校に入ってすぐ。「お小遣いが欲しい」と言ったら、ママに「じゃあ、お風呂をきれいに洗ってね」と言われました。「お風呂はこうやってスポンジに石鹸をつけて洗うのよ」と教えてもらいながらバスタブを磨き、メアリーさんは20円をもらいました。

それがよほど嬉しかったのか、それ以降、犬小屋の掃除や車の洗車など、自分で仕事を見つけてきては親からお小遣いをもらうようになりました。

メアリーさんの部屋には、自分がいま欲しいもののベスト5がそれぞれの値段付きで張り出されています。あとどれくらい稼げば欲しいものが手に入るかが、一目でわかります。それが働く動機付けになっているようでした。

古着やアクセサリーをコーディネートして売る

メアリーさんは中学生になると、家のお手伝いよりも効率的に稼げる方法を考え出しました。それは家族や親戚の古着やアクセサリーを引き取り、素敵に見えるよう組み合わせてフリーマーケットで売るという方法でした。

インターネットでフリーマーケットがある場所を探し、日曜祭日には自分でコーディネートした古着やアクセサリーを売る店を出店します。最初のうちは心配なので親が付き添っていましたが、そのうち学校の友達といっしょに出店しはじめました。

今は学校の勉強が忙しくなってきたので、手軽なネットオークションやネットフリマを利用しているようですが、裕太さんは「彼女の貯金通帳を見せてもらうと、月に5万円くらいは稼いでいる。僕の小遣いが4万円だから、すごいよね」と笑いました。