一見うまくいっているように思えても…

「年下上司・年上部下」という状況も近年では、かなり一般化してきました。

そのような関係においては、やはり何かしらの不具合を抱えていることが多いものです。当人たちに聞くと、「比較的良好な関係で、うまくやっている」というようなケースでも、他のメンバーたちに聞くと必ずしもそうではないことがわかります。

たとえば、普段は表面的に良好な関係を保っているように思えても、何かのきっかけで途端に険悪になるということがあったりするのです。それくらい、年齢と立場の逆転現象というのは厄介な問題なのです。

状況の詳細を聞いてみると、双方の意地の張り合いのような状況が多く起こっており、業務に支障が出ている、あるいは出かねないというものでした。しかも、きっかけはほんの些細なこと、まさしく「マイクロムーブ」が多いようでした。

年上部下の感情に配慮せよ

たとえば、重要な決定をするにあたって、年上部下に事前に説明がなかったというだけで、当の年上部下はへそを曲げてしまい、それ以来、非協力的な態度をとり続けているとか、年下上司のことを“くん”付けで呼ぶというようなことです。

通常の関係、つまり上司が年上である場合にも、些細なネガティブな出来事が積み重なって、良好な関係が崩れるということはありますが、年下上司・年上部下の場合、どうもこの導火線が短いようなのです。互いにネガティブな感情を抱く行為が一つでもあった場合、それだけで急速に関係が悪化するということが多くあります。もともと双方とも火種を抱えている状態とも言えるのです。

仲たがい
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結局、このようなケースというのは、年齢ということに端を発した、ネガティブな感情が災いして起こっていることです。年齢に関わらず、ネガティブな感情が生まれるきっかけというのは、残念ながら職場の中には多様に存在しています。誰しも、100%自分の裁量で仕事をしているわけではなく、さまざまな制約の中で仕事をしているため、自分の意に沿わないことはいくらでもあるからです。

そのようなことが積み重なり、職場の人間関係に支障を来すのです。そうした場合に、第三者的な視点をもって、相手の感情に配慮した行動をとることができれば、関係悪化へ突き進むのを押しとどめることができます。