男性中心の世界では悩みは解決されない

今回の読売問題でも、Bさんがセクハラを受けていたのはA氏だけではなかった。別の出版社の男性からも数々のセクハラを受けていたようだ。

「酒席にBさんを呼び出しては『ホテルに行こう』などのセクハラを行っていた。誘いを断られると態度が急変して『お前はだから記者として駄目なんだ』といったパワハラを繰り返していた。Bさんはネタや勉強の為にとさまざまな会合に精力的に顔を出していたようですが、一定の割合でこうしたセクハラ被害に遭っていたようです」(Bさんの友人)

問題は根深いのである。こうしたことが起こり得るのは記者の世界が今でも変わらず男性社会であることも影響しているだろう。週刊誌の記者の男女比率は8:2ほどであり、いまも変わらず男性中心の世界なのである。女性記者特有の悩みは、男性視点で笑い飛ばされたり、マイノリティの悩みとして見過ごされてしまいがちだ。

ジェンダー差別
ジェンダー差別
※写真はイメージです

記者個人の問題で終わらせず、他山の石に

こうした問題に対応するにはどうすればいいのか。Xさんは「上司が真摯に女性記者の相談に乗るとか、セクハラ被害があれば相手メディアにクレームを入れるなど、組織としての丁寧な対応が必要だ」と語る。

ある現役の週刊誌女性記者は「またか、という思いで、ニュースを冷ややかに見ていた」という。

「今回のような騒動が起きたとき必ず一度は『オンナも悪い』という意見が流れるんですよね。なかには『セクハラされても、ネタ取れて記事になったからいいじゃん』などと語る人も珍しくない。この業界の常識はおかしい、と感じます」

この数年、週刊誌のスクープはネットにも展開され、これまで以上に大きな注目を集めるようになった。しかし、その取材現場は“男尊女卑”という歪んだ構造を抱え続けている。今回の問題は、決して読売記者個人だけの問題ではない。メディアで働くすべての人間が「他山の石」としなければならない問題なのである。

【関連記事】
ブッダの言葉に学ぶ「横柄でえらそうな人」を一瞬で黙らせる"ある質問"
「仕事やお金を失ってもやめられない」性欲の強さと関係なく発症する"セックス依存症"の怖さ
創価学会の人たちが驚くほど熱心に「聖教新聞」の購読を勧めてくるワケ
同業界にいた女性の叫び「電通の高橋まつりさんは長時間労働に殺されたんじゃない」
「やはり上から目線」新人記者の現行犯逮捕という"報道の危機"に読者の共感が集まらないワケ