米国共和党の人種差別撤廃への抵抗は、大統領選挙での身分証明や郵送投票を厳しくせよとか、あたかも公平な制限のように見せながら、現在の条件の下では実は黒人の投票を制限するように変えようとするものである。

醇風美俗を保ちたいという一部老人男性の満足感が失われるだけ

夫婦別姓も男女両性に公平に見えながら、現状でほとんどの夫婦が男子の姓を名乗る状況の下では、活躍する女性に夫婦同姓のしわ寄せがいくという実質的性差別が保たれるだろう。

そして、それを制度として保ちたい中高年の男性の声が、この判決の陰にある――15人の最高裁判事には、中高齢者の男性が圧倒的で、うち女性は2人に限られている。

三浦守、宮崎裕子、宇賀克也、草野耕一の各裁判官も、当然の夫婦別姓を認めない民法の規定は違憲だとして反対意見を表している。中でも草野耕一裁判官は次のように説く。

夫婦同姓は当事者にいろいろ迷惑を及ぼすので、別姓にすれば利益を受ける人は多くある。ところで夫婦別姓にして具体的に経済的その他の不利益を受ける人がいるかというとまずいない。日本の家族制度という醇風美俗を保ちたいという一部老人男性の満足感が失われるだけである。このようなイデオロギーを満足させるために多くの当事者に具体的な不便さや費用を押し付けてよいのか、という趣旨である。

法と経済の専門家のはずの私は、はっと教えられた。

21年の世界経済フォーラムによれば、職場参加の平等、教育の機会、政治参加など様々なデータから総合的に作成したジェンダーギャップ(男女格差)の指数で見ると、世界の156カ国の中で、日本は先進国で最低水準の120番目だという。それももっとものような感が強い。

日本の男女格差は先進国最低レベルのまま ジェンダーギャップ指数
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