舛添要一氏「やはり菅義偉は、自民党の救世主である」
テレビを中心としたマスコミが総裁選報道をながし続けることにも責任はある。自民党総裁選は、首相を決める選挙ではあるが、形式的には1政党の党首選だ。だから公職選挙法の縛りが事実上ないため、政党、候補者の公平性に配慮する必要がない。つまり「面白い」ものに集中して報道すればいいのだ。
自民党に批判的な論調が多いことで知られるTBS系の「サンデーモーニング」では5日、コメンテーターの青木理氏が「コロナの状況は全然よくなっていないのに。テレビメディア中心にメディアも報道も政局一色になってしまっている」と指摘。テレビの報道が、自民党を利していることに警鐘を鳴らした。
また元東京都知事で国際政治学者の舛添要一氏は6日、ツイッターで「菅首相の退陣表明で、マスコミや世間は自民党総裁選一色になり、野党の存在感はなくなった。やはり菅義偉は、自民党の救世主である」との見方を示した。皮肉なことに、国民の支持を得られなかった菅首相が退陣したことで、自民党は勢いを取り戻しつつある。
野党は政権交代どころか、想定外の大苦戦を強いられそう
立憲民主などの野党は8日、市民グループと国会内で会合を開き、消費税減税や、原発のない脱炭素社会の追求などを盛り込んだ次期衆院選に向けた「共通政策」に合意した。
また枝野氏は7日の記者会見で、政権交代を達成した時の政権公約を発表した。コロナ対応に加えて、①日本学術会議会員への任命を拒否された学者の任命、②出入国在留管理局の施設で亡くなったスリランカ人の監視カメラ映像を公開、③森友学園、加計学園、「桜を見る会」などの真相解明チームの設置、④「赤木ファイル」関連文書の開示―など7項目。立憲民主党が昨年来訴え続けてきた安倍・菅政権下の問題点を羅列しただけの印象で、新味は乏しい。何よりも「政権交代」の現実味が心許なくなる中、「政権公約」と言われても国民に届きにくいちうのが実情だ。
野党が次々に政策を発表していくのは、与党との違いを鮮明にして選挙協力をさらに強化するのが狙いだが、少しでもニュースを発信し、報道で取り上げられようという思いも透けてみえる。しかし提言する政策にインパクトがなければ、決して大きなニュースにはならない。
このまま総選挙に突入すれば、野党は政権交代どころか、想定外の大苦戦を強いられることになりそうだ。