裏技を共有し、制限解除をかいくぐる子どもたち
制限した端末で、なぜ自由にゲームやYouTubeが利用できるかというと、ネット上で制限解除法などが共有されているためだ。たとえばYouTubeでは、「GIGAスクール構想端末の制限解除法/YouTube視聴法/ゲームする方法」などが公開されており、裏技が共有されている状態だ。
コメント欄には「YouTube見れる方法あったら教えてください」「これってiPadでもできますか」「やってみたのにこのサイトもブロックされていて開けない。別の方法は?」「フォトナ(筆者注、フォートナイトのこと)の入り方は?」など、子どものユーザーからのコメントであふれている。
ある小学生は、「Scratchでならゲームができるよ」という。プログラミングアプリであるScratchの上では、他のユーザーが作ったプログラミングで遊べるのだが、そこでゲームを探してはプレーするのがはやっているのだ。その他、教育用に許可されたあるアプリの上でならYouTubeが視聴できたりと、制限をかいくぐって利用できることは少なくない。このような裏技は、子どもたちの間でまたたく間に共有されて広がっている。
制限をかけすぎて「Wikipediaが見られない」
一方、自治体により制限しすぎの例も少なくない。アプリインストールができないとか、YouTubeなどが見られないところは多い。それだけでなくある自治体は、カメラアプリやメールの送受信などもできなくなっている。
ある時、筆者の息子が調べ学習で「庄内平野」を検索していたが、良い資料が見つからずに困っていた。「Wikipediaで庄内平野の基本的なことを調べて、リンクから関係するサイトを見るというのは?」とアドバイスしたところ、「見られないよ」と言われてしまった。確かめたところ、確かにWikipediaがアクセス制限対象となっていて驚いた。コピペなどを恐れたものだろうが、制限に意味があるのだろうか。
また、学校の端末で写真を撮って提出しなければいけない宿題があったのに、誤って保護者のスマホで撮影してしまっていた。そこでUSBメモリを使ってデータを移そうとしたが、使えないようになっていた。ウイルス感染や個人情報流出を恐れたものだろうが、そんな状態だったのでデータの移行に苦労してしまった。