このようにまったく制限しないところは子どもが使いすぎるトラブルにつながっているが、一方、使いすぎを恐れるあまりに学習にも使いづらいほど制限しすぎている自治体も少なくない。「GIGAスクール構想は単なるデジタルの置き換えで、真の意味のICT教育はできていないのでは」と言われるが、この意見に同意したくなる。
ただ、導入初年度で自治体も試行錯誤中のはずだ。子どもの学習利用上で問題があると感じた場合は、学校を通して意見を伝えて改善していくことも大切ではないだろうか。
仕事をさぼってネットに興じる大人も多いが…
では、GIGAスクール構想端末とどのように付き合えばいいのか。
息子がパソコンに向かっていても、学習しているとは限らないことにはすぐに気づいた。宿題をしているときはキーボードを使っているが、ただ見ているときはネットサーフィンをしてサボっていたり、Googleのゲームで遊んでいることが多かった。
本人に、「ただネットを使ってサボっているだけのときはすぐにわかるよ」と言ったら、自覚があったようで「しまった」という顔をしていた。「大人でも仕事をサボりたい時にネットを見てしまうことはあるよ。でもそれでは宿題はずっと終わらないままだし、宿題は早めに終わらせて遊ぶときは遊ぶほうがいいよね」と伝えてからは、多少改善されたようだ。
スマホを自由に触れるようになった時にゲームやSNSにハマるのは一般的なことだ。一方、GIGAスクール端末はフィルタリングされており、多くの子どもがハマりやすいSNSや動画、ゲームなどは使いづらくなっている。スマホの前にパソコンやタブレットを利用することは、インターネットとの付き合い方を学ぶ良い準備段階となるのではないか。
やみくもに禁止するのではなく一緒に活用法を考える
大人でもSNSやゲームにハマることは少なくないので、付き合い方を学ぶのも勉強のうちと考えて管理の仕方を学ばせてみてはどうか。子どもと利用時間についての約束を取り決めたり、夜間や学習時間などは保護者が管理して使わせないようにすることも必要になる。
また保護者は、利用上で起きているさまざまなトラブルやリスクについて知っておくこと、子どもが利用している端末における対策を理解した上で利用させることも重要だ。トラブルやリスクについては、学校からの連絡や関連するニュースなどに目を配っておくことである程度把握できるだろう。同時に、子どもの端末や環境についても、あらかじめ基本的な使い方や特徴などをネットで調べておくことで対策できるのではないか。
また、子どもだけでいきなり端末を学習に活用するのは難しいので、たとえば無料でプログラミングを学べるwebサービスを紹介するなど、活用の仕方をアドバイスしてはどうか。調べ学習についても子どもだけで自分が理解できる有用なサイトを見つけるのは難しいので、「小学生 調べ学習」などでAND検索し、おすすめのサイトを見つけて教えてあげるのもいいだろう。
ネットや端末を禁止する時代は終わり、既に活用したり付き合い方について考える段階にきている。子どもだけに任せるのではなく、保護者が見守りながら、親子で端末の活用法やネットとの向き合い方について学んでいってほしい。