6割の保護者はネットトラブル対策を理解していない

教員の回答によると、主なトラブル内容は「学習以外の用途での端末利用(ゲームや動画視聴など)」が12.8%、「フィッシング詐欺など不正サイトへの接続」が12.0%、「アカウント乗っ取り、不正アクセスの被害者となる」が11.1%、「アカウント乗っ取り、不正アクセスの加害者となる」が11.1%と続いた。

子どもたちは端末をゲームやYouTube視聴など学習以外に利用したり、フィッシング詐欺に遭ったり、アカウント乗っ取りなどのトラブルに巻き込まれているのだ。

インターネットトラブルで悩む子どものイメージ
写真=iStock.com/stefanamer
※写真はイメージです

さらに保護者の58.9%、教員の29.9%が、端末に危険を回避するための設定やツール等の技術的対策が施されているか理解していなかった。保護者と教員は子どもが利用している端末における対策を理解した上で利用させることが必要だろう。なお、子どもの端末利用に関する教育的対策は、保護者、教員ともに全項目が半数に満たず、端末を利用する子どもへの教育が進んでいないのが実態だ。

「夏期講習に行かず8~12時間も端末で遊んでいた」

執筆現在、オンラインと対面を組み合わせたハイブリット授業が行われているある自治体では、「音が飛び飛びで何を言ってるのか聞き取れない」「画面がフリーズしたままで動かない」など、なかなかスムーズにいっていないようだ。こちらは主に学校回線の問題のようだが、家庭での利用でも問題は起きている。

そもそも、配布端末の制限内容は自治体によって異なっている。たとえば東京都世田谷区は制限が最低限となっており、YouTubeも見られる状態だ。制限が厳しすぎると使う気をなくすと考え、使わせるためにあえて制限は最低限にしたという。使わせることを考えると理想的に見えるが、やはり問題も起きている。

「端末を貸与された直後、子どもが深夜まで使っていたせいで翌日起きられず、学校を休む羽目になった」とある40代主婦は眉をひそめる。「夏休みには勝手に1日8~12時間も使っていて、塾の夏期講習に行かせようとしたのに、結局申し込みはしていたのに何日も行かないで端末で遊んでいたよう」。

一方、問題が起きることを恐れ、あらかじめ厳しい制限をかけている自治体は多い。たとえば筆者の息子は小学校6年生だが、毎日Chromebookを持ち帰り、教材配布・採点などができるツール「クラスルーム」を使って宿題をしている。一方、YouTubeやTikTokなどの動画アプリは制限されて使えないようになっている。でも、「友だちがYouTubeを見ていたのがバレて先生に怒られていた」という。