「仲間とともに没頭する経験」が非認知能力を育てる

いずれも、子供(学生)時代に、何か好きなことを仲間たちとともに継続的に没頭してきたという経験からくる感情です。彼らは好きなことをやり続ける中で、まじめに集中すること、体を動かすこと、他人と協調すること、試行錯誤すること、転んでも起き上がることなどを身に付けたのでしょう。それこそが大人になってから求められる非認知能力なのです。

芝生の上を走っている子どもたち
写真=iStock.com/StockPlanets
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スポーツでも、楽器でも、趣味の何々でも、没頭し継続して続けることで、得られるものなのです。

2000年にノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンは、『幼児教育の経済学』の中で、非認知能力が高い人は学歴、職業、所得、生活保護、犯罪等の点において、低い人よりも恵まれた人生を送ったと述べています。そして、非認知能力を身に付けるのは、就学後よりも未就学児が効果的であること、成功や失敗などの体験から得られることが多いと述べています。

未就学児は遊びに集中、学生時代はクラブ活動がいい

具体的には、未就学児であれば、好きなだけ遊びに集中して取り組ませてあげること、親(大人)と一緒に絵本の読み聞かせや料理・掃除・お片付けなどのお手伝いをすること、たくさん褒められること、また、うまくできることだけではなく、許容範囲内でうまくいかないことも経験することなどで、非認知能力は育まれると言われています。

就学後、つまり学生時代の非認知能力は、コミュニケーションを中心とした、さまざまな体験活動を継続できると育まれます。ただし、生活圏は広がっていきますので、就学前のように“家などで親(大人)と”という活動よりも、学校や地域における好きなクラブ活動などで、仲間たちとともに、挑戦・成功・失敗などの体験を継続することが重要になります。