天気を一番よく知る現地のユーザーを巻き込む

そしてもうひとつ、予報精度向上を支えるユニークな取り組みが、ユーザーによる天気の報告制度だ。同社では、「現地の本当の天気を知っているのはその場にいるユーザー」というスタンスの下、ユーザーが「リポーター」となって現在地の空の写真を投稿したり、気温や雨の降り方を報告したりするコミュニティ「ウェザーリポート」を構築している。空の写真は1日2万通、天気の報告は1日18万通が寄せられている。

集まった報告は、短期の予報などを中心に実際のアプリの情報に生かされている。とくにゲリラ豪雨などの報告は、リアルタムで反映が行われているという。

実際にウェザーリポートの画面を開いてみると、市町村までの投稿場所や日時とともに、各地の空の写真や動画が集まっている。例えば、ある日の投稿では、関東地方のユーザーが「霧雨が降っています」「今朝は曇りです」と投稿しているのに対して、愛知からは「かなりの雨足です」、山梨からは「やばいほど降ってきました」といった投稿がみられ、各地の状況の違いがわかる。動画や写真には、「いいね」やコメントを付けたり、気になるユーザーをフォローしたりすることもでき、そこで交流が生まれている。

写真や動画と一緒に天気や体感の暑さといった情報を投稿できるのが特徴(「ウェザーニュース」より)
写真や動画と一緒に天気や体感の暑さといった情報を投稿できるのが特徴(「ウェザーニュース」より)

また、通常のSNSと異なるのが、「影はっきり」「ポツポツ」といった天気の状況や、「ジリジリ暑い」「ちょうどいい」といった体感温度、今後の天気が回復しそうかどうかの予想など、ユーザーが五感で感じた気象状況も投稿できる点だ。さらに、気温や湿度、気圧、風速といった情報を付加できる項目も用意されており、写真や投稿文だけではわからないリアルで細かい状況まで伝わってくる。

ユーザーコミュニティの強みは、何といっても情報の早さだろう。ゲリラ豪雨や台風のときなどは多くのユーザーが現在地の写真を投稿するので、居住地の近い投稿者をフォローしておけば、自身が出かけていたとしても天気予報を待たずにリアルタイムで状況を把握できる。

リポーターは投稿するごとにポイントを獲得でき、多数のポイントを集めた投稿者には、気温や湿度、気圧などを計測できる独自の小型観測機「WxBeacon2」がウェザーニューズから提供される。観測機で得られたデータはリポーターのスマホに転送され、リポーターは写真投稿の際の付加情報として利用できる。ポイント付与のシステムが、単なる投稿のモチベーション維持にとどまらず、熱心な投稿者により多くの情報を提供してもらえるしくみとなっている点もユニークだ。